震災後、求人数が大幅に落ち込む
東日本大震災から1カ月が経過したが、その間の採用活動はどのように動いたのだろうか。震災直前の3月2週目の新規求人数を100とした場合、正社員の求人ニーズは3週目が83.3、4週目が71.6まで急落した。インテリジェンスHITO総合研究所調べ。
東日本大震災から1カ月が経過したが、その間の採用活動はどのように動いたのだろうか。震災直前の3月2週目の新規求人数※を100とした場合、正社員の求人ニーズは3週目が83.3、4週目が71.6と急落するものの、5週目には83.3とやや回復していることが、インテリジェンスHITO総合研究所の調査で分かった。
この結果について、インテリジェンスHITO総合研究所は「震災直後の急落は、地震そのものの影響というよりは、計画停電や自宅待機のほか、人事担当者が災害対策業務に追われ、手が回らなくなったことが大きく影響している。また震災の影響を直接受けていない企業でも、社会的状況を鑑み、採用を後ろ倒ししたことも大きな要因」と分析。今後の見通しについては不透明な部分が多く、「見通しが立つのはゴールデンウイーク明けになるだろう」(インテリジェンスHITO総合研究所)としている。
人材派遣サービスへの求人数も大幅に落ち込む
震災直後はアルバイト、派遣、アウトソーシングの領域でも求人数が大きく低下。同社の人材派遣サービスへの求人数を見ると、3月3週目は35.1に落ち込んだ。特に小売・外食系企業では、被災地店舗の復旧活動や首都圏地域の営業時間短縮により、求人ニーズが一時停滞。その一方、生保・損保を中心にコールセンター需要が生まれ、4週目には派遣を中心に求人数の回復がみられた。
またアウトソーシングでは、IT通信分野などでインフラ復旧に向けた人手不足が発生したほか、アルバイトに関しても、食品・日用品の増産に伴い物流会社や小売などで求人ニーズが発生した。さらに全国展開する小売・外食系企業については外国人スタッフの帰国がスタッフ不足を引き起こし、アルバイトへの求人数が増加している。
今後は復興需要が発生するとみられ、「短期的には解体作業に伴う作業スタッフやドライバーなどのニーズがあり、中長期的には拠点移転により、コールセンターなどの求人数が増えるのではないか」(インテリジェンスHITO総合研究所)と予測している。
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