震災復興のために、宝くじ付きレシートの導入を
台湾で発行されている宝くじ付きレシート。台湾で1952年に導入した時には導入前と導入後で、消費税による税収が2倍になったという。東日本大震災からの復興資金を得るために、この宝くじレシートを導入してはどうだろうか。
2010年、私は大阪経済大学の樋口克次教授と2人で、台湾の「統一発票(レシート宝くじ)」の調査訪問を行った。
台湾では、すでに1952年よりレシート宝くじを実施している。すべてのお店で商品購入をすると、政府の発行する公の用紙のレシートが発行される。そのレシートには1つ1つに異なった番号が付いていて、2カ月に1度抽選があり、市民は自分の手持ちのたくさんのレシートを、家族みんなでチェックして、楽しんでいる。1952年の導入前と導入後では、消費税で2倍以上の収税効果があったという。
レシートは、政府が発行したものをすべての店や会社が使用する。市民は何かを購入すると、宝くじのことがあるので、必ずその店にレシートを要求するようになる。そのために消費税の収税がより正確に行われることになるのだ。
「これを日本に導入してはどうか」というのが、私と樋口克次教授の意見である。
調査訪問した結果、宝くじ付き消費税レシートは予想以上に消費税の収税効果が大きいことと、市民の消費税に対しての親しみを増すことが分かった。消費税の収税効果に関しては、すでに「税収は2倍以上なのに消費者大喜び――『レシート宝くじ』の秘密を台湾・財務部に聞いてみた」で報告している。
これを現在の東日本大震災復興の目玉にして、活用してはどうだろうか。まず、消費税を現在の5%から10%に引き上げる。そして、その差を東日本での耐津波復興に費やすことで、日本を元気に戻したい。
宝くじレシートには、国民を楽しませて、同時に災害復興のための資金を集めることができる、という一石二鳥の効果がある。さらに、金額に関わらず宝くじのレシートが発行されることから、この宝くじレシートそのものを、当たりや外れが判明する前に、寄付する習慣ができあがっている。
台湾では、多くの町の通りや空港まで、宝くじレシートを寄付する箱が置かれている。身体障害者を助ける団体1つでも、この寄付レシートで、毎年数百万円の当たりくじを得ているというから、その効果は極めて大きい。
台湾の財政省もこの宝くじレシートの効果には絶対の自信を持っており、また、消費税への市民の印象がすごく良いことに驚いた。日本では、既存の宝くじ制度を守るために、既存の宝くじの関係官庁が反対する可能性があるが、このレシート宝くじ統一発票で……
(1)現状の税率でも膨大な消費税収入の増加を確保できる
(2)消費税を納税すべき企業やお店が明確になる
(3)消費税における税の公平性が高まる
(4)消費税の人気が良くなる
(5)消費税にともなうさまざまな募金効果が大きい
(6)消費税率の調整が比較的簡単である
(7)現在の情報ネットワークを活用すれば、リアルタイムで消費税の集まり具合が(コンビニの売り上げ並みに)瞬時に分かり、景気の動向を簡単に把握することができる
……といった効果を見ていると、これを実施しない手はないと思う。現在の大震災復興のための資金確保での中心になれる税制であり、蓮舫大臣も統一発票はよくご存じのはずだ。
消費税に宝くじを付けて、当たりの懸賞金を支払ってもかなりの増収が見込まれる。さらに税率を5%を10%にすれば、さらなる増収も見込めると私たちは計算している。これが復興の目玉にして、国内と地元の企業を活性化させよう。
※この記事は、誠ブログ「震災復興のために 統一発票(宝くじ付き消費税レシート)の提案」より転載しています。
※上記ブログエントリのコメント欄で教えていただいたリンク集、ブログパーツ配布サイトについては、下記「関連リンク」に追加しました。ご参照ください。
誠ブログでは、ブログを執筆してくださるブロガーを募集中です。詳細については、「誠ブログとは?」「FAQ」をご覧下さい。
関連記事
- 1ポイントから募金できる――広がれ、企業ポイントの「募金活用」
東北地方太平洋沖地震の被災地支援のため、寄付したい――この声に応え、マイレージなど自社が運営するポイントで募金を行う企業が増えている。 - これからのキーワードは「感動」「シンプル」――震災がマーケティングを変える
東北地方で大地震が起きてから1週間。この1週間で消費者のメディア利用や、消費行動には大きな変化が起こった。震災後の私たちは、どのようなマーケティングのあり方を目指せばいいのか、考えてみた。 - 今こそ阪神大震災後の15年を振り返ろう
東日本大震災という未曾有の大災害を受け、助け合いの精神が日本に生まれているように思える。しかし、阪神大震災の後の推移を思い返すと、その思いが継続的に続くとは言えないかもしれない。