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「ガンバレ」と言われても……日本中を襲う震災ストレス(2/2 ページ)
東日本大震災発生後、実際に被災したわけでもないのにストレスを感じている人は少なくない。「気持ちが沈む」「よく疲れる」といった症状を訴える人が増えてきているようだ。
ふんどし一丁から
《みんなで頑張れば絶対に乗り越えられる。日本の力を、信じてる》
民放テレビで震災報道の合間に繰り返し放送されているACジャパン(旧公共広告機構)のCM。歌手のトータス松本さん(44)が呼びかけ続ける。
事務局によると、視聴者からは「元気が出た」「勇気づけられた」という反響の一方、「同じメッセージが繰り返され、気がめいる」「耳鳴りのように残る」といった制作意図とは異なる声も寄せられているという。被災地で「頑張れ」と声高に叫んでも、「こんなに頑張っているのに……」といった反応を示す被災者も少なくない。
フランス文学者で筑波大学の竹本忠雄名誉教授(78)は「大震災の被害そのものはいかに甚大、悲惨であろうとも日本人の忍耐と英知によって必ず克服されるだろう。外国の援助もあるだろう。だが、精神の立ち直りはわれわれ自身によってしかできない」とし、65年前の国難であった敗戦後の体験を話した。
「東京の下町は大空襲で焼け野原となった。みんなで神社を再建し祭りを行った。着る物もなくふんどし一丁の男たちが境内に勢ぞろいし、戦災孤児たちと黒山の人垣を作って気勢を上げた。戦後の復興は紛れもなくあそこから始まった」
そのときの色あせた写真は、現在も社殿に誇らかに飾られているという。
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