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震災後見えてきた流通の明日の姿――それは“善き商人”であること郷好文の“うふふ”マーケティング(3/3 ページ)

震災時には人の本性が見えたが、小売業者の本性も垣間見えた。私たちはどんな小売業者を本当に必要としているのか。今後望まれる小売の姿について考えてみた。

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善き商人であること

 まず、「ローカル=地元の良さ」の再発見。直売所や道の駅、被災産地応援フェアーのような市、ファーマーズ・マーケットに人々の関心が向く。規模や効率の追求から、人のにぎわいや触れ合い、ローカルのおいしさを求めるだろう。

 そこでは非対面販売のネットスーパーにもチャンスがある。今のネットスーパーはどこも赤字である。それは店舗販売品の宅配業に過ぎないために、人件費や運営費がかさむからだ。投資の割に米とティッシュと水しか売れないので赤字になる。もっとローカルの良いものを仕入れ、単価が高い産直通販にシフトすべきだ。

 そこで、「垂直透明」がキーワードになる。放射能検査も農薬も遺伝子も、店頭での情報提供も、すべて透明にするという意味だ。生産者の顔も、正直に生産する姿も見える。ローソンでは、栽培・収穫・製造・物流・販売まで垂直統合する製造小売りモデル、コンビニ版ユニクロを進める。食品製造のすべてのプロセスに責任を持つこの取り組みは、明日の流通業モデルである。

 最後に「お金よりも助け合い」。みんな、それを思い出した。ちょっと高くても農家や漁師を助けたい。地元に直接お金を落としたい。早くも三陸では「復興支援牡蠣オーナー」を募集中。1口1万円の出資で、復興後に牡蠣約20個を出資者に送る約束をする。愚直に善き商人であれば、消費者は彼らを助け、ともに復興したいと思うだろう。


復興支援牡蠣オーナーの募集

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