コラム
南相馬市、原発20キロ圏内に入る(後編):東日本大震災ルポ・被災地を歩く(4/4 ページ)
福島第一原発から20キロ圏に位置し、避難指示が出ている南相馬市。人間は避難しても、動物たちは今も残されたままだ。原発から14キロ、320頭の牛を飼育している農場を訪れた。
安全だったら、東京湾に作ればいい
栃木県出身で、現在東京に在住している私は常に東京電力の電力を使ってきた。電力のあり方について真剣に考えなければならないと、思った。仮に現在の電力供給を続けるとすれば、何か事故が起きると、街が消滅したり、ゴーストタウン化するだけでは済まない。
一方、マスメディアでは「もっと原子力発電の安全性を高める必要がある」といった議論も目立つ。この議論について吉沢さんに聞いてみた。
「安全だったら、東京湾に作ればいい。自分らの電気は自分らでやってくれと。東京のゴミは東京でやってくれと。どんどん東北に犠牲を押し付けてね、もう、そういうのを反省する時期だろうな」
当たり前の答えが返って来た。私もそう思った。
渋井哲也(しぶい・てつや)氏のプロフィール
1969年、栃木県生まれ。フリーライター、ノンフィクション作家。主な取材領域は、生きづらさ、自傷、自殺、援助交際、家出、インターネット・コミュニケーション、少年事件、ネット犯罪など。メール( hampen1017@gmail.com )を通じての相談も受け付けている。
著書に『自殺を防ぐためのいくつかの手がかり』(河出書房新社)、『実録・闇サイト事件簿』(幻冬舎)、『解決!学校クレーム』(河出書房新社)、『学校裏サイト 進化するネットいじめ』(晋遊舎)、『明日、自殺しませんか?』(幻冬舎)、『若者たちはなぜ自殺するのか?』(長崎出版)など。メールマガジン 「悩み、もがき。それでも...」を刊行中。
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