東京電力は“潰せない企業”なのか:藤田正美の時事日想(3/3 ページ)
福島第1原子力発電所の事故で“四面楚歌”の状況に陥っている東京電力。これだけ大きな事故を起こしながらも「東電は地域にとって必要だ」といった声がある。果たして東電は“潰せない企業”なのだろうか。
東電または経産省が仕掛けた“脅し”
東電の賠償上限額を2兆円とし、その場合、電力料金を16%値上げせざるを得ない、という試算があると報道された。これなど、東電に無限に賠償を背負わせると、それは結局、利用者に跳ね返りますよという東電あるいは経産省が仕掛けた“脅し”としか思えない。
原発がもたらした被害に関しては、徹底的に補償しなければならないし、最終的に東電自体で払いきれない分は電気料金や税金で賄うことになる。それでも、連結総資産13兆円、売上高5兆円弱の巨大企業である東電をいったんは「解体」して考えてみることが必要だ。会社を存続することを前提にすれば、「安定供給」という錦の御旗の下に、これまでのエネルギー政策の構図の中に収まってしまうからである。原子力に関しても、福島第2原発の再開はともかく、青森での新設計画(東通原発)は推進されるだろう。
福島第1原発の悲惨な事故があったために、中部電力浜岡原発を当面停止することが決まった。2030年には原発依存度50%という国のエネルギー基本計画も白紙にして見直すという。そういう状況にあることを考えれば、東電が今の形で存続することを前提にするわけにはいかない。東電の首脳はそこまで腹をくくるべきなのである。その覚悟ができてこそ、活路も開けるかもしれない。
そして右肩上がりの経済ではなくなった今、今後のエネルギーはどうあるべきなのか、私たちも日本のあり方も含めて考え直す時期に来ている。福島第1原発は東電幹部に覚悟を迫っているが、同時に私たちも覚悟が迫られている。
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