コラム
中国が“世界の工場”でなくなる日:藤田正美の時事日想(3/3 ページ)
世界的な企業が、中国での生産を見直す動きが出てきた。その背景にはあるのは、中国人労働者の賃金上昇だけではない。自国に回帰することで、さまざまなリスクを回避することができるという。
世界的な企業が生産体制を再検討
労働コストが安いところで生産すればいいという時代は終わったのかもしれない。企業はより進んだ形でサプライチェーンを考えるようになってきた。モノを米国も含めてさまざまな場所で作ることが理にかなうようになっているのである。
以上、エコノミスト誌の記事を紹介したが、東日本大震災も1つの契機となって、世界的な企業が生産体制を再検討していることがよく分かる。
民主党政権は、復興計画と原発収束に手一杯で、TPP参加への一定の結論も先送りしてしまった。もちろん世界各国は日本の大震災には同情を寄せているとはいえ、ビジネスの世界は待ったなし。復興のめどがたったころには、世界のビジネス状況が大きく変化して、日本は周回遅れで取り残されていた……ということにならないよう、企業は目を配っておかなければならない。TPPの旗振り役だった海江田経産相には、とてもそんなことまで目配りする余裕はないだろうが。
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