何でかみ合わないの? こんな議論がダメな理由:ちきりんの“社会派”で行こう!(3/3 ページ)
ビジネスシーンに限らず日常生活でも、議論がかみ合わない状況に遭遇することがしばしばあります。いくつかの議論を例に、なぜ議論がかみ合わないのか、原因を考えてみました。
議論のための議論
最後の不毛な議論例は、結論に関係ないことにこだわる人です。
Aさん「この前、買うって決めた商品、デパートで買うと2000円、スーパーで買うと980円だったよ。だからスーパーで買おうよ!」
Bさん「えっ、違うよ。間違ってるよ。デパートで買うと2100円だよ!」
Cさん「お前ら何も知らねーんだな。デパートは今1800円になってんだよ。ちゃんと勉強してからモノ言えよな」
Bさん「なに言ってんだよ。オレは昨日見てきたんだぜ。何だよ。じゃあもう1回調べに行こうぜ!」
Cさん「おお、望むところだ。調査してから決めよう!」
Aさんの主張は「スーパーで買おう」ということです。前段の文章はその理由に過ぎません。Bさんの意見が正しくてもCさんの意見が正しくても、Aさんの結論や主張にはまったく何の影響もないんです。
こういう「最終的な結論」に何ら影響を与えないのに、その前段階の細かいことにやたらとこだわって時間を空費する人って意味不明です。けれど、こういった「議論のための議論」がやたらと好きな人がどこの世界にもいるものです。
もちろん議論をするのが目的なら(=会議をするのが目的なら)いつまでも議論していればいいでしょう。議論が趣味なら延々やっていればいいと思います。
しかし、結論を出すのが目的なら、結論に基づいて行動するのが目的なら、BさんやCさんの言っていることは「正しいかもしれないけれど、まったく価値のない発言」です。
あなたがしたいのは「議論」なのか? それとも「結論を出すこと」なのか? よく考えましょう。
というか、会社において「議論のための議論」をする人って何なんでしょうね? 自分の趣味を職場に持ち込むのはやめてほしいです。趣味は家でやってください。
そんじゃーね。
著者プロフィール:ちきりん
兵庫県出身。バブル最盛期に証券会社で働く。米国の大学院への留学を経て外資系企業に勤務。2010年秋に退職し“働かない人生”を謳歌中。崩壊前のソビエト連邦など、これまでに約50カ国を旅している。2005年春から“おちゃらけ社会派”と称してブログを開始。著書に『ゆるく考えよう 人生を100倍ラクにする思考法』がある。Twitterアカウントは「@InsideCHIKIRIN」
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