外国の“くだらない情報”こそ読んでみたい:ちきりんの“社会派”で行こう!(3/3 ページ)
インターネットの広まりで、他国の情報にも簡単にアクセスできるようになりました。しかし、距離は近くなったとはいっても、異なった言語間での意思疎通が活発に行われているように見えません。ちきりんさんはそれを実現するための「自動翻訳プログラム」に期待しているようです。
くだらない情報を翻訳することこそが大事なのかも
今の世界では、政治や経済、株価や大きなテロ事件など、重大な事件、意義のある情報しか翻訳されません。でも、ちきりんはそれ以外の“まったくくだらない情報”が訳される世界を楽しみにしているんです。
テレビや新聞が報道する海外の事件は、地震や山火事、政治や経済関連などの「マスコミが判断した大事なこと」です。でも、山火事のニュースより、上に書いたような、日々の生活の機微やその国の若者の関心、社会の状況、外からみた自分の国の印象、いろんな国のレシピやファッショントレンドなど、ありのままの姿が分かる市井の情報の方が、ちきりんには興味深いのです。
どの国にも、まったくどうでもいいようなブログやつぶやきがいっぱいあるはず。そういうのが全部、ほかの国でも普通に読めたら、世界が今よりは平和になると思いませんか?
「中国で反日活動が活発になっている」とテレビが報道していても、中国の若者のブログを読む限り、「就職活動や留学準備、金もうけ話ばっかりで、反日活動なんかに興味のない中国人もいっぱいいるじゃん?」と分かったりするわけです。
逆説的な言い方ですが、「くだらない情報を翻訳することこそが、重要なんじゃないの?」とも感じるのです。「相手の国の普通の人たちの生活」がダイレクトに見え始めたら、その方がよほど世界の相互理解は進み、平和が促進される気がします。
そんじゃーね。
著者プロフィール:ちきりん
兵庫県出身。バブル最盛期に証券会社で働く。米国の大学院への留学を経て外資系企業に勤務。2010年秋に退職し“働かない人生”を謳歌中。崩壊前のソビエト連邦など、これまでに約50カ国を旅している。2005年春から“おちゃらけ社会派”と称してブログを開始。著書に『ゆるく考えよう 人生を100倍ラクにする思考法』がある。Twitterアカウントは「@InsideCHIKIRIN」
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