レディー・ガガに学ぶ、革新的なビジネス戦略(2/2 ページ)
挑発的なファッションなどで知られる米女性歌手レディー・ガガ。いまや同じ米国の歌手マドンナに匹敵するほどの影響力を持っているが、ガガとマドンナの戦略にはどのような違いがあるのだろうか。
クップ氏の言葉通り、5月23日に日本を含む全世界で同時発売された最新アルバム「ボーン・ディス・ウェイ」は昨今のCD不況にもかかわらず、全世界で大ヒットしている。米音楽誌ビルボード(電子版)によると、米では既に45万〜75万枚、英では21万枚を売った。さらにK−POPに押され、洋楽不振といわれる日本でも英より多い50万枚の売り上げを記録したという。
同じ日、ネット通販のアマゾンが電子盤を99セント(約80円)という超低価格でダウンロード販売したところ、アクセスが殺到してサーバーがダウン。(5月)26日、販売を再開する騒ぎもあった。
SNS駆使で革命
この出来事は伝統的なレコード会社とネット企業との間にしこりを生じさせる結果となったが、クップ氏は「彼女のビジネス戦略のおかげで、有料配信や違法ダウンロードの急増に苦しむ音楽業界が息を吹き返した」と前向きに評価している。
自身を「マザー・モンスター」、ファンを「リトル・モンスターズ」と呼び、SNSの活用でファンとの親近感や絆(きずな)を強め、ファン層の拡大を図るガガ。伝統的な音楽産業に加え、一般企業の販売戦略にまで変革を促(うなが)す真のモンスター(怪物)ともいえそうだ。
レディー・ガガ
1986年3月28日、米ニューヨーク州生まれ。本名はステファニー・ジョアン・アンジェリーナ・ジャーマノッタ。ニューヨーク大芸術学部時代に音楽を本格的に学び、デビュー作「ザ・フェイム」(2008年)はシングル「ポーカー・フェイス」の爆発的ヒットにより全世界で1200万枚を売る。米経済誌フォーブスは今年の「最も影響力のある有名人」の1位に選んだ。
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