コラム
「震災のせい……」と言い訳をする、ダメな経営者:吉田典史の時事日想(4/4 ページ)
東日本大震災が発生し、企業の業績悪化が懸念されている。しかし「震災のせいで、売り上げが落ち込んでいる」などと言い訳をする経営者もいるのでは。このような経営者は「震災のせい」と語る前に、自らを見つめ直すことが必要ではないだろうか。
経営者は自らを見つめ直すことが必要
さらに経営者は自身のブログでも「震災により不況が深刻になり、事業のあり方を見直す」と書いていた。その後、リストラをしたのかは分からないが、これまでの経緯を思い起こすと、また誰かを辞めるように仕向けたことは想像できる。
この会社はここ数年間、売り上げ10億円の壁を超えることができない(関連記事)。経営者は「東証に上場を」と取材時に勇ましいことを言っていた。ところが、それも掛け声倒れ。このように業績が伸び悩むのは、経営者が安定して稼ぐことができる仕組みを作れないことにこそある。その仕組みを作るためには、経営者の「常に自分は正しく、悪いのは役員であり、社員」という自己中心的な考えをあらためるしかないだろう。
3月11日の震災以降、経済情勢は厳しくなりつつあるが、前述の居酒屋にしろ、このベンチャー企業にしろ、それ以前から経営がゆきづまる問題を抱え込んでいたことは事実である。震災うんぬんを語る以前に、このような経営者は自らを見つめ直すことが必要ではないか。どうか、震災を言い訳にして自身の怠慢や不当な行為を正当化しないでほしい。あなたの会社の経営者は大丈夫だろうか。
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