どんなトラブルがあったのか? 仮設住宅の建設に携わった人たち(3/3 ページ)
東日本大震災によって、いまだ多くの人が避難所での生活を強いられている。全体的に工事に遅れが出ているが、仮設住宅を建設するにあたりどういったトラブルがあるのだろうか。実際、建設に携わったアキュラホームの担当者に話を聞いた。
もう少し情報があれば
仮設住宅の完成が近づいたある日、志村さんは被災者からこんな言葉をかけられた。「みなさんはいいですよね。仮設住宅が完成すれば、帰れるのですから。帰れる場所があるって、いいことですよ」と。この言葉を聞いたとき志村さんは、どういう顔をして、どのような言葉をかけていいのか、分からなかったという。
現場監督を務めていた椛島哲也(かばしま・てつや)さんに、ある被災者はこうつぶやいた。「私たちにも仕事があればなあ……」と。現場は混乱していると思い、現地入りする前に人員などすべての手配を済ませていた。「被災されている方に、お仕事を手伝ってもらえるような体制にすればよかった。もう少し情報があれば……」と椛島さんは悔しがる。
東京と現地を往復し、指揮を執り続けた志村さんと椛島さん。建てる前の段階からさまざまな難問が降りかかり、電気、水道といったライフラインの確保から始めなければならかった。そして6月上旬、工期に遅れはなく、仮設住宅は完成した。
取材メモ
「仮設住宅」と聞いてどんなイメージを持っているだろうか。多くの人が「プレハブ」を想像するかもしれないが、実は施行する会社によって“味付け”が違う。ちなみにアキュラホームの場合は、木造タイプ。
仮設住宅は広さは決まっているが、デザインなど自由にできる部分は多い。よく見ると、玄関の形や外壁のデザインはさまざま。また間取りは2DKタイプが多いようだが、間仕切りをとって1つの部屋として使えるように設計している会社もある。
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