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何が改革を妨げるのか?――現役官僚が語る、官僚や東京電力の問題(2/5 ページ)

改革派官僚として知られ、国家公務員制度改革推進本部事務局で関連法改正などを進めてきた経済産業省の古賀茂明氏。1か月で16万部が売れた『日本中枢の崩壊』の刊行記念会見では、改革を妨げている公務員制度の問題点や、電力会社が各業界を支配する構造について語った。

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公務員制度を改革しないと、すべてが逆行する


『日本中枢の崩壊』

古賀 次に公務員制度改革の話をさせていただきます。まず、「なぜ公務員改革が必要なのか」ということですが、小泉改革でいろんな改革をやりましたが、今になって分かったことは小泉さんが辞めたら、ほとんどの改革がすごいスピードで逆戻りを始めているということです。

 それはなぜかというと、小泉さんは公務員制度に手を付けなかったからです。官僚は基本的に今ある仕組みを守りながら、その中で自分たちの利益を確保するという行動をとるので、公務員制度に手を付けないままほかの改革をやろうとしても、結局常にその改革を逆戻りさせようとする力が働いてしまうのです。

 では、何をやらないといけないかということですが、公務員制度改革には大きく分けて2つの問題があると思います。1つは公務員バッシングの文脈でよく言われるのですが、「給料を下げろ」「首切りをして人を減らせ」という、コスト削減的な観点での改革です。これももちろん大事なことなのですが、今それよりはるかに重要なことは「官僚が国民のために働くようなインセンティブの構造をもう一度作り直す」ことだと思っています。

 そのために必要なことはいくつかあります。例えば今、公務員は法を犯したり、悪いことをしたりしない限り、ポジションが下がることは絶対ありませんし、給料が下がることもありません。これをやめて、業績を残せなければ下がることがあるという仕組みにしなければいけないと思います。

 もう1つ、今、官僚は1つの文化に染まっています。しかし、新しい政策をやっていくことが官僚に求められているので、そのための新しいアイデアを出せる若手や外部の民間人の登用を可能にするような仕組みを作らなければいけません。そのために私が提唱しているのはJリーグ方式です。すべてのランクごとに順位を付けて、下の1〜2割は無条件で降格する、それによってポストが空くので、そこに若手や民間人を登用するという仕組みを提唱しています。

 それから3つ目は、首相(官邸)主導の公務員の幹部人事の実施です。今は各省ごとに大臣が人事を行っているのですが、これだとだいたい官僚の側の圧力に負けて、官僚が作った人事案を実施することになるのですが、そうではなくするために首相が省の利益を超えた判断をして、人事を行うことが大事だと思います。

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