コラム
「東電とケンカをしても無駄。なぜなら……」――新潟県三条市の市長に聞く:相場英雄の時事日想(2/4 ページ)
福島県南相馬市からの被災者を受け入れた、新潟県の三条市。震災後の政府や官僚の対応について、國定勇人(くにさだ・いさと)市長はどのように見ているのか。また避難生活の原因を作った東京電力について、率直な意見を聞いた。
どっちを向いて仕事をしているのか?
――永田町では与野党が内閣不信任決議案を巡って“政局”に意識を集中させた。国会の混乱をどう感じるか?
ひと言で言えば「どっちを向いて仕事をしているのか?」だ。この一語に尽きる。被災者に顔を向けて仕事をしているならば、そもそも与野党とも内閣不信任案決議などという事態には至らなかったはずだ。
出身である霞が関をあえて擁護するならば、官僚は今回の震災で機動的に動こうとしている。しかし、官僚は環境づくりを受け持つことができるが、決定権を持っていない。決定はあくまでも省庁の政務三役であったり、国会での審議だったりする。政治が遅々として動かないことから、霞が関には苛立ちやあきらめの気持ちが蔓えんしている。
政治とは、今回の大震災のような非常時に働くことが本来の仕事だ。国会議員が高給を取り、あがめ奉られているのは非常時のための職務だからに他ならない。言い換えれば、迅速なる意志決定をするための役割を担っている。しかし、今般の国会の混乱は、自分たちが本来持ち合わせている役割を自ら放棄していることと同じだ。同じ日本人として恥ずかしい。
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