ここが変だよ、日本の住宅営業:宋文洲×権田和士のこんな営業はいらない(3/3 ページ)
「住宅の営業マンっていらないのでは」といった不要論があることをご存じだろうか。その背景にはネットの普及により、営業マンと消費者の間の知識差が縮まってきているからだ。住宅業界が抱える問題について、宋文洲氏と権田和士氏が語り合った。
宋:辞めてしまうのもあるけど、それはあの時代だから通用したんですね。高度成長期だから「売ってこい!」と言えば家も売れたんです。今、いくらそんなやり方しても売れませんよ。
権田:まさに高度成長期の売らせ方ですね。ただ、その時代の名残で「売ってナンボ」という考え方はまだ住宅・不動産業界に残っています。
宋:営業マンは歩合制なんですよね? 歩合制だったら、上から言わるのは余計なお世話なんじゃないですか。自分の給料は自分の成績で決まるんだから、上に言われなくても何とかしますよ。「数字は上げろ! そしてオレの言うことだけ聞け!」なんて冗談じゃないですよ。
権田:確かにそうですね。ただ、「最近の営業マンは欲が少ない」といった悩みを抱えている会社も増えてきています。彼らは歩合制でも上を目指さないので、マネージャーも苦労しているようです。
宋:ニンジンをぶら下げても食べないんだ。歩合制が効きにくい人もいますね。そういう人は営業の仕組みで支える必要があります。分業制を導入して営業機能を細分化することで、個人の成果を最小限に留めること。そうすることで営業マンの属人性に頼らず、仕組みによる組織の成果を追求することが必要です。
あと仕組みというより、もっと単純なことかもしれないけど、30〜40人くらいの会社なら、社長やマネージャーが明るい顔しているのが大事です。これはすごく単純なことですけど、会社が明るい雰囲気だと自然とモチベーションは上がりますから。
暗くて難しそうな顔している社長、いるでしょ? 小さな会社では社長の顔を社員はいつも見ているのだから、社長が明るくなくちゃいけない。
権田:住宅・不動産業界は先々の需要が細くなっていくのが分かっているので、それで暗い顔をされている社長もいるのではないかと。
宋:社長が暗い顔しているのに、社員に「やる気出せ」って言うのはおかしいでしょ。自分は「やる気ありません」って顔して歩いているのに。
社長やマネージャーは会社の雰囲気を明るくして、そしてある程度の保証を社員にしてあげる、それが仕事です。保証と言っても物質的なものから精神的なものまでいろいろあります。良い仕事を与えてあげるのが一番のモチベーションにつながります。ある程度の保証をして楽しいことを見つけてあげれば、欲が少ない若手もちゃんとついてきますよ。
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