どのように向き合っていけばいいのか? 放射能との生活:原口一博×武田邦彦 それでも原発は必要か(最終回)(3/3 ページ)
福島第1原発で事故が起き、「放射線の影響は大丈夫なのか」と不安や恐怖におびえた人は多いはずだ。事故後、私たちはどのように生きていけばいいのだろうか。この問題について、原口一博議員と武田邦彦教授が語り合った。
励ますこと、支え合うこと、共同すること
武田:人間には間違いをすることがあります。しかも何度もあります。しかし今回の原発事故は、ものすごく大きな間違いを起こしてしまった。大きな間違いであったがゆえに、いろんな問題が浮き彫りになりました。
福島県で苦しんでいる人たちは、助けなければいけません。また原発事故をきっかけに不幸になった人にも手を差し伸べてあげなければいけません。
日本社会の何が間違っていたのか。事故を受け、これからどうすればいいのか。特にこれから日本を背負っていく若い人たちには考えていただきたい。後ろ向きになってはいけないと思う。
僕はよくこんなことを言っています。「日本政府は“日本人総家畜化計画”を進めている」と。誰かが言ったことを、言われたとおりにやる。こういう社会の行き詰まりを、今回の事故は示したのではないでしょうか。2度と同じ失敗を繰り返さないためにも、とにかく深く深くこの問題を考えていくことが大切だと思っています。
原口:僕は、真実と向き合う勇気を共有することが大切だと思っています。その真実はときにものすごく醜かったり、恐ろしかったりするでしょう。しかしそこと向き合う姿勢をもっていれば、乗り越えることもできる。もしその姿勢をなくせば、知らないうちに家畜になり、やがて屠殺場に行くことになるでしょう。
とにかく共有することが大切です。励ますこと、支え合うこと、共同すること、この価値観がこれからは非常に大切になってくるでしょう。
今の世の中は知識情報化社会。エネルギーの独占社会でもなければ、産業の独占社会でもありません。ネットワークで仕事をする時代なんです。横にいる人を大切にすれば、それが解決型の学びにもつながっていく。なので若い人には、ぜひ真実に向き合うことに恐れないでほしいですね。(終わり)
プロフィール
原口一博(はらぐち・かずひろ)
1959年佐賀県生まれ。1983年東京大学文学部心理学科(第4類心理学)卒業。1987年佐賀県議会議員当選。1996年衆議院議員に当選。2003年民主党副幹事長。2009年総務大臣。この間、郵政民営化に関する特別委員会筆頭理事、総務委員会筆頭理事、拉致議連(北朝鮮に拉致された日本人を早期に救出するために行動する議員連盟)副会長などを歴任。現在は衆議院総務委員長を務める。
著書に『ICT原口ビジョン』(ぎょうせい)、『平和 核開発の時代に問う』(ゴマブックス)などがある。
武田邦彦(たけだ・くにひこ)
1943年東京都生まれ。1966年東京大学教養学部基礎科学科卒業後、旭化成工業に入社。1986年より同社ウラン濃縮研究所長を務め、自己代謝材料の開発に取り組む。1993年より芝浦工業大学工学部教授、2002年より名古屋大学教授を経て、2007年3月より中部大学総合工学研究所の教授。また内閣府原子力安全委員会の専門委員などを歴任する。
著書に『環境問題はなぜウソがまかり通るのか』(洋泉社)、『偽善エネルギー』(幻冬舎新書)のほか、原発問題をテーマにした『原発大崩壊! 第2のフクシマは日本中にある 』(ベスト新書)などがある。
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