リーマンショック後、転職マーケットで起こったこと:メディアとWebと人材と(2/2 ページ)
リーマンショック後、転職マーケットは急激に冷え込み、人材業界大手ではリストラが進み、求職者も書類選考さえ簡単に通過できない状況となった。数億円規模の事業を立ち上げるなど、誰もがうらやむような経歴の持ち主でも転職には苦労したようだ。
“自分依存”の人でも企業の要件次第でマッチしない
もう1人、冒頭で挙げた新規事業を経験して1つの事業を成功に導いた方。通常時であれば、たいていの企業で歓迎していただけそうな人材。にもかかわらず、不景気+年齢が上になってくると、企業側も採用に慎重になります。自社の求めている人物像と合っているか、これまでに残してきた実績は自社が求めているものか、規模は、対象領域は、経験している業務はマッチしているか、企業側の審査も厳しくなります。結果、書類審査で不合格となった企業も中にはあったのです。
リーマンショック後のような採用氷河期においては、一流の人材であってもピンポイントで要件を満たしていないと採用されないかもしれません。将来的にどんな経験が必要になるのかを早めに認識し、その経験を積めるようにキャリアを積んでいくよう、景気の良い時からキャリアのことを意識しておく必要があるのです。
最悪の時の話だが最悪の時に備えておく必要性
ここまでの話はリーマンショック以降の1年間くらいの出来事です。さすがに現在は、底を打っての回復基調。人材紹介会社の状況を見ていると、リーマンショック前とは比べものにならないほど書類通過率などが上がっています。
転職マーケットは需給バランスで企業側の判断が変わってくるので、今回書いてきたような心構えは必要なくなるかもしれません。難しいことを考えずとも転職に成功することも増えるでしょうし、景気が良くなれば年収アップで転職できることも増えてくることでしょう。
けれど、今後の日本にバラ色の未来は待っているのでしょうか? 長期的な視点で見れば、人生の中で何度かは不景気の底、氷河期はやってきます。私が就職したころは就職氷河期と言われていました。そして10年経った今も、新たな氷河期が訪れています。
そんな時でも生き残ることができるサバイバル力のあるキャリアを築けているか。どんな時にでも必要とされるキャリアを歩めているか。平時からそんなことを考えておく必要があると私は思うのです。(中嶋嘉祐)
※この記事は、誠ブログ「リーマンショック後、転職マーケットで起こったこと」より転載しています。
誠ブログでは、ブログを執筆してくださるブロガーを募集中です。詳細については、「誠ブログとは?」「FAQ」をご覧下さい。
関連記事
- あなたは会社依存ですか、それとも自分依存ですか?――就職・転職前に考えてほしいこと
学生が就職活動をする際、あるいは20代の若者が転職活動をする際、まず「企業に依存する生き方」をしたいのか、「自分に依存する生き方」をしたいのかを考えるべきという筆者。それぞれの生き方にはどのような違いがあるのだろうか。 - 「転職で年収アップ!」はウソ?
人材会社の「転職で年収アップ!」という広告に刺激されて、ついつい転職を考えてしまう人は少なくないでしょう。しかし、統計によると、転職では年収がダウンする確率の方が高いようです。その理由を考えてみました。 - 大企業の正社員、3割は会社を辞める
東日本大震災の発生以降、「今後どのように働いていけばいいのか」と考えるビジネスパーソンも多いのでは。ポスト大震災の働き方について、人気ブロガーのちきりんさんと人事コンサルタントの城繁幸さんが語り合った。 - 5分で分かる正しい会社の辞め方
「早くこの会社を辞めたい」と思っていたビジネスパーソンにとって、転職先が決まればついつい“うかれがち”になるもの。しかし、退職の意思を伝える順番など、転職の際に注意すべきことは意外と多い。その注意すべき点とは……?