学部卒でビジネススクールへ、年配の社会人たちに教えられたこととは:活躍するMBAホルダーたち(4/4 ページ)
「人中心のコンテンツマネジメント」をコンセプトに、ナレッジマネジメントソリューションのリーディングカンパニーとして、2007年9月にマザーズ上場を果たしたリアルコム。ITを使っての企業の新たなワークスタイルの実現に挑戦し続けている同社CEOの谷本肇氏にビジネススクール時代のお話をうかがった。
年配の人が多くて良かった
――MBAの取得は、谷本さんの人生にどのくらいインパクトがあったか、5段階評価をしていただけますか。
谷本 そういう意味では、正確に表現すると、MBA取得というよりはKBSへ行ったことですごく変わりましたね。さっきも言ったようにMBAというのは卒業証書1枚で、まったく、本質的には意味のないものかもしれませんが、そこで過ごした2年間とか、ネットワークとか、自分が一生懸命頑張った事実とかが重要だと思うんです。
だから、ほかにももっといいビジネススクールはたくさんあるかもしれませんが、自分にとってはKBSでの2年間というのは、やはり今でも5点満点中5点くらいのインパクトは及ぼしていると思いますね。
――その2年間はどのように良かったのでしょう? たとえKBS以外のビジネススクールへ行っていたとしたらどうだったと思いますか?
谷本 まあ、結論的には多分、良いビジネススクールへ行けば、どこへ行っても良かったと思うと思うんですけど(笑)、KBSに1つ、米国のビジネススクールより良いところがあるとすると、マチュアな人、つまり成熟した人が多いんです。
米国のビジネススクールってすごく単純化すると、大学卒業して2、3年どこかで働いたあと、エリート養成学校的なイメージでキャリアアップを狙って20代後半くらいで来て、卒業後もガンガンキャリアアップして、給料も上げてという風に、良くも悪くも若くてエネルギーいっぱいという雰囲気なんですが、対してKBSは平均年齢も30代前半で、良くも悪くもガツガツしていなくて、先ほどもお話ししたように、自分にいろんなことを教えてくれた。その時の人間関係というのは今でも続いていて、私がこの会社を立ち上げた時もいろんな側面で助けていただいて、やはりそういう人間関係っていいなって思います。
特に私の場合、KBS卒業後は外資系のコンサルファームへ行って、そのあと米国へ渡って、日本へ戻ってからこの会社を立ち上げたりして、いわゆる米国でMBAを取得した人みたいなことをやってきたわけです。
そういう意味では、良くも悪くも日本の普通の規範からははずれた道を歩んでいるんだけど、一方で、旧来の日本のエスタブリッシュな世界、それは悪い部分もあるけど良い部分も山ほどあるわけで、そういうものを肌で感じられる環境もある。そういうふうに、バランス感覚を保てる場が常に自分にはあるということは、これはものすごい良いことだなと思いますね。
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