契約書を読んでいる人、手を挙げて!:ちきりんの“社会派”で行こう!(2/2 ページ)
現代社会ではさまざまなシーンで、契約書にサインをしたり、はんこを押したりすることが求められるようになっています。しかし、そうした契約内容を本当に理解して、はんこを押している人はどれだけいるのだろうかと、ちきりんさんは問いかけます。
現代人は一生で何回はんこを押すのか?
というように、役所からインターネットまで、最近の世の中は“法的な文章”にあふれていて、もはや私たちはそれらを回避して生活することはできません。
私の祖母の時代であれば、一生の間にはんこを押した書類はせいぜい婚姻届けくらいだったはずです(それも戦前なので、親ではなく本人のはんこが必要だったのかどうか不明です)。
一方、今の20代の人などは、一生のうちにいったいどのくらいの契約書に判子を押すのでしょう? そして、そのうち「目を通して、ちゃんと理解して契約する文章」はどれほどあるのでしょう?
そういえば数年前、テレビが高齢の1人暮らしのおばあさんが悪徳リフォーム屋にだまされて大金を巻き上げられた事件について伝えていました。おばあさんには身寄りがないので、今後は役所が後見人を紹介するとのこと。で、その様子をテレビが放映していたのですが……。
市役所の人と担当の専門家が家に来て、「おばあちゃん、ここにはんこを押してね。押すだけだからね」といって、後見人になるための契約書に判子を押してもらっていました。
何だかブラックジョークみたいだなと思いました。この認知症のおばあさんにとっては、悪徳リフォーム屋も役所の人も同じに見えていたことでしょう。わけの分からない紙に「ここに判子を押してね!」と笑顔でいう人たち。
何だかな〜ですよね。
そんじゃーね。
著者プロフィール:ちきりん
兵庫県出身。バブル最盛期に証券会社で働く。米国の大学院への留学を経て外資系企業に勤務。2010年秋に退職し“働かない人生”を謳歌中。崩壊前のソビエト連邦など、これまでに約50カ国を旅している。2005年春から“おちゃらけ社会派”と称してブログを開始。著書に『ゆるく考えよう 人生を100倍ラクにする思考法』がある。Twitterアカウントは「@InsideCHIKIRIN」
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