コラム
岐路に立つユーロ――存続派の声を紹介しよう:藤田正美の時事日想(3/3 ページ)
ユーロは存続するのか、それとも統一通貨からさらに統合を進めるのか、岐路に立っている。前回、「ユーロは失敗だった」との議論を取り上げたが、今回は「ユーロは維持すべき」という人の意見を紹介しよう。
「連帯」の道を歩んできた欧州
以上、フェルホフスッタト氏の意見の概要である。第二次大戦後、半世紀以上も欧州は安定と繁栄を求めて「連帯」の道を歩んできた。通貨の統合は氏が強調するようにさまざまなメリットももたらしたが、同時に、強い経済と弱い経済の矛盾を激化することにもつながった。半世紀を超える努力がここで方向を変えるのか、あるいは溝を乗り越えてさらに先に進もうとするのか。
どちらに進むにしても容易ではない。そこには政治家の強いビジョンとリーダーシップが要求されるのだが、ドイツのメルケル首相は果たしてその重責を担えるのだろうか。ユーロが安定した方向を見いだすまでは、少なくとも円がリスク回避通貨として位置付けられる。つまりは円高圧力は当面は弱まることがないということだ。
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