コラム
覚悟しなければいけない……次の“金融ツナミ”に:藤田正美の時事日想(2/2 ページ)
欧州が金融不安で揺れている。米格付け会社S&Pが、イタリア国債の格付けを引き下げたからだ。もしイタリアが債務不履行という事態に陥れば、世界経済への影響はリーマンショックどころではないだろう。
次の金融ツナミ
もっともここまで来ると、国の主権が制限される(言葉を換えればドイツやフランスに「支配」される)ことになるので、ユーロ圏17カ国のうち小国にとってはとてものめる話ではあるまい。かといって、ここでユーロそのものを再編するということになれば、財政基盤の弱い国は、ユーロという後ろ盾を失ってたちまち資金調達が困難になる。それは金融市場にとっては絶対にあってほしくないシナリオだ。ドイツやフランスの銀行が周辺国の国債を大量に保有しているからである。
現時点でも欧州の銀行は1兆7000億ユーロ、ざっと180兆円ほどの資金調達が今後3年間で必要とされている。ここにもしギリシャ以外の国の破たんが加われば、欧州発金融恐慌は必至と言っても言い過ぎではあるまい。
リーマンショックのとき、アラン・グリーンスパン前FRB(連邦準備理事会)議長は「100年に1度の金融ツナミ」と米連邦議会で証言した。だからといって、これから100年、次の金融ツナミが来ないとは限らないのである。
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