アフター3.11、ビジネスパーソンはどう変わった? (前編):仕事をしたら“グラッ”ときた(6/6 ページ)
震災後、多くのビジネスパーソンが自らの働き方を見直し始めた。約4割の人が「仕事に対する価値観が変わった」としているが、具体的にどのように変化したのか。アンケート結果を基に、リクナビNEXTの黒田真行編集長に解説してもらった。
土肥:ほー。その一方で、増えている項目は何ですか?
黒田:「勤務地」と「勤務時間」(いずれも+2.5ポイント)は増えていますね。これは家族と過ごす時間を大切にしたいという人が増えてきているから、と見ています。「震災前までは家族そっちのけで仕事一辺倒だったけど、果たしてこれでいいのだろうか」と自問する人が確実に増加しています。
土肥:政府は「ワークライフバランス」という言葉を使って、日本人の働き方を見直そう、といった動きを後押ししていますよね。また子育てを積極的に行う父親のことを「イクメン」と呼んで、家族と過ごす時間を大切にしましょう、という動きもあります。しかし「自分はワークライフバランスを見直した」という人はどのくらいいたのでしょうか。
少し古い調査になりますが、2008年に内閣府がアンケートを行いました。その結果、ワークライフバランスのための努力をしている人は19.0%に留まり、努力していない人は43.8%もいました。政府が笛を鳴らして躍らせようとしましたが、積極的に踊る人は少なかった。しかし震災をきっかけに、働き方を見直そうという人は一気に増えた。
黒田:そうですね。ワークライフバランスという美しい言葉よりも、危機が迫った時に感じた、家族を守らなければならない、という意識のリアリティの方が強かったということだと思います。
今回の震災は、人の根っこの部分に触れ、何かを変えた。もちろん時間が経過すれば、ある程度は薄れていくでしょうが、この“根っこの変化”の影響は、長く残っていくのではないでしょうか。
(後編へ続く)
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