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なぜ男性ファッション誌『smart』は売れているのか(後編):仕事をしたら“若者はナゾ”だった(2/3 ページ)
男性ファッション誌の『smart』が売れている。販売部数はここ3年で1.5倍に拡大した。読者は15〜25歳の人が多いというが、どのようにして若い男性の心をつかんだのだろうか。編集の裏側を、太田智之編集長に聞いた。
土肥:確かに流行り・廃りのスピードが速くなっているように感じますね。もちろんそのスピードというのは若い男性たちの間だけではないと思いますが、なぜそんなに速くなったのでしょうか?
太田:ひとつには商品をできるだけ短い工程で作る企業が増えてきたからでしょうね。その代表がファストファッション。ファッション誌に掲載できないほどのスピードで、トレンドの新しい服がどんどん作られていますね。
土肥:それって編集者泣かせですよね。「これが流行するぞ」といった特集を組んでも、すでに店頭には並んでいなかったりすることも。
太田:だからといって、取り上げないわけにはいきません。環境の変化が速い時代に、どれだけ対応していくことができるかが、雑誌作りのカギになるでしょうね。
若者の価値観
太田:編集の仕事をしていると、いろんな業界の人と話す機会があります。彼らと話をしていると、よくこんなことを言っています。「若者の、特に若い男性の価値観がつかみづらい。作り手側が置いていかれるのではないだろうか」と。いま自分たちが扱っている商品が売れていても「本当にこれでいいのかなあ」と、不安に感じながら仕事をしている人も多いようです。
逆に「若者の価値観はこうだ!」と自信を持って仕事をしている人は、そう多くない。この若者、特に若い男性の価値観については、多くの企業が気になっているところではないでしょうか。
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