スポーツクラブ経営で営業利益率22.6%、高利益率の秘密とは?:嶋田淑之の「リーダーは眠らない」(6/6 ページ)
効率的な経営が可能なIT業界などではなく、スポーツクラブというそれほど新しくない業界で22.6%という高い営業利益率をたたき出している東祥。同業他社が数%の利益率にとどまるところ、なぜそんなに高い利益率を出せているのか、沓名俊裕社長に尋ねた。
戦略課題は、マネジメントスピードの一層の向上
東祥は今、ホリデイスポーツクラブの全国100店舗展開(2018年3月期)を目指して、年間8店舗ペースでオープンする計画だ。
現在45店舗まで増えてきたものを、さらに2倍以上に拡大するとなると、従業員の採用・訓練だけでも大変だ。東祥では今年、三河安城に「ホリデイカレッジ」という専門の人材養成スクールを開校し、100店舗体制へのベース作りをした。
人員の問題はこれで解決すると仮定しても、店舗数がこれほど拡大するとなれば、社内のシステムやプロセス面での非連続・現状否定型の革新も、同時に必要になるのではないだろうか?
100店舗実現に向けての課題について、沓名さんは次のように語る。
「50店舗を運営する企業と100店舗を運営する企業では、必要となる組織のあり方は当然、異なってきます。100店舗を運営し、なおかつ現在と同程度以上の顧客価値創造をしていくためには、マネジメントスピードを格段に向上させることが必須だと私は考えています。
例えば、出店候補地が見つかっても、実際に用地を確保し、新店舗をオープンするまでに、現在、2年間を要しており、これは時間がかかり過ぎです。まず、これを何とかしないといけない。
また、社内的な情報共有という面でも、各現場から私に情報が到達するまでのスピードをもっと早くしないといけない。ただでさえ、店舗数が倍増すれば、情報共有化スピードが低下する可能性があるのですから、今のうちからそれを加速するための手を打っておかないといけません」
2018年に向けた東祥の100店舗展開戦略は成功するのだろうか? 仮に成功したとしても、これまで通りのレベルの顧客価値創造や、高収益体質を維持できるのか? 東祥の今後の展開に注目したい。
嶋田淑之(しまだ ひでゆき)
1956年福岡県生まれ、東京大学文学部卒。大手電機メーカー、経営コンサルティング会社勤務を経て、現在は自由が丘産能短大・講師、文筆家、戦略経営協会・理事・事務局長。企業の「経営革新」、ビジネスパーソンの「自己革新」を主要なテーマに、戦略経営の視点から、フジサンケイビジネスアイ、毎日コミュニケーションズなどに連載記事を執筆中。主要著書として、「Google なぜグーグルは創業6年で世界企業になったのか」、「43の図表でわかる戦略経営」、「ヤマハ発動機の経営革新」などがある。趣味は、クラシック音楽、美術、スキー、ハワイぶらぶら旅など。
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