アナリストにも問題あり! オリンパスの損失隠し:相場英雄の時事日想(3/3 ページ)
英国人元社長の解任に端を発したオリンパスの経営問題。その後、会社ぐるみの損失隠しが発覚したわけだが、日頃、財務をチェックしているアナリストに問題はなかったのか。関係者からは「アナリストの目は節穴か」と厳しい声が出ている。
「超強気発言」も買い材料に
「あのとき、全株売却して正解だった」(外資系運用会社幹部)――。
この幹部が指摘する「あのとき」とは、2007年5月に開催されたオリンパスの決算説明会での菊川剛社長(当時)の発言を指す。
同氏は、説明会でデジタルカメラ事業について強気発言に終始。「デジタル一眼市場において3強入りを目指す。3強というからには、万年3位では意味がない。1位を狙えるところにいなくてはならない」との主旨で説明を展開した。
もちろん、デジタル一眼のトップ2社とはニコン、キヤノンだ。オリンパスはカメラ製造の老舗であり、同氏の発言に違和感を覚えるかもしれない。
しかし「トップ2強の勢力が強すぎ、あの時点でオリンパスがデジタル一眼のシェアをひっくり返すには無理があり過ぎた」というのがこの幹部が感じた違和感だった。
分かりやすく例えてみると「20年前に引退したプロ野球選手が現役復帰し、短期間で首位打者になるようなもの」(同)だったのだ。同氏のプレゼンに不信感をいだいたこの幹部は、株式の売却に動いたという。
ちなみに、当時のアナリストリポートをいくつかチェックしてみた。菊川元社長の強気コメントを前向きな材料ととらえ、「買い」のサポート要因としたアナリストは複数存在する。
「説明会以降、同社はデジカメ事業での新規投資を繰り返し、結果的に損失が膨らんでしまった。今にして思えば、あのプレゼンは損失隠しの一環だったのではないかとの疑念さえ沸く」(同幹部)。
一般の読者には馴染みの薄い存在の証券アナリストだが、オリンパス問題を通してその存在意義が重大な岐路に立たされている。
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