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会社員にとって、“実力”とは何か吉田典史の時事日想(3/4 ページ)

「会社員にとって、実力とは何だろうか」と考えたことがある人も多いのでは。例えば営業マンであれば「営業成績トップの人=実力がある」ととらえがちだが、それは「実力がある」とは言えないはずだ。

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能力は潜在的な力を意味する


日本的経営の編成原理』(文真堂)

 この実力のとらえ方を30年以上も前に論じた学者がいる。このコラムでも紹介したことがあるが(関連記事)、会社員をしていくうえでぜひとも心得ておきたいことなので、改めて紹介する。

 学者の名は、岩田龍子氏。当時、武蔵大学教授として終身雇用や年功序列を文化論からアプローチすることで注目を浴びた。いくつもの本を書き著しているが、特にお勧めなのが、『日本的経営の編成原理』(文真堂)だ。

 岩田氏は、日本の社会の能力観には2つのニュアンスが含まれていると言及する。実力のベースになるのが、この能力観だと私は思う。

 「(1)能力は、ある漠然とした、一般的な性格のものとしてうけとめられることが多いこと (2)能力は、訓練や経験によってさらに開発されるべき、ある潜在的な力であり、したがって、ただちに実用に役立つ力、つまり"実力"とは考えられていないこと」(150〜151ページから抜粋)

 一方で、米国の能力観を「訓練と経験によって現実に到達しえた能力のレベル」(149ページから抜粋)ととらえている。そして、これらの能力観から、日本の競争とは違った意味合いを持つ競争になると説く。

 「米国社会では、人びとは、いわば局部的にしか競争にまき込まれていない」「競争における個々の勝敗は、人生における長い一連の"戦い"の局面にすぎない」(149〜150ページから抜粋)

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