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電車を利用する人は、どんなお店を求めているの?エキなか!(2/2 ページ)

面積当たり売上高が極めて高い駅ナカの小売店。どのようなお客さんを想定し、どのような店舗を出せばいいのか。最も注目すべきポイントは「店内滞在時間の短さ」である。

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商品の売り方にも駅ナカならではの特徴が

 「駅ナカのお客さんは通過客であり、店内滞在時間は短く、客単価が低い傾向にある」――この消費者行動に見事にマッチしている究極の駅ナカ業態が「立ち食いそば屋」である。実際に坪当たり生産性は非常に高い数値を出しており、飲食店ではファストフード店も高い支持を集めている。

 駅ナカの消費者行動に合わせた工夫としては、例えば本屋が挙げられる。JR東日本リテールネットが運営する「ブックエキスプレス」では、本屋業界としてはちょっと変わった売り方をしている。

 通常の本屋の売り方は“ロングテール”で、広い店内にたくさんの商品を陳列するため、アイテム数の多さが成功の要因となっている。しかし、ブックエキスプレスでは「商品回転率」を重視、旬の商品を短期間で販売する手法をとっているのだ。

 先日発売された人気漫画『ONE PIECE 64』の販売でも、圧倒的な物量で売り場を作り上げ、短期間で売り切る手法を採用。お客さんは短時間での買い物を望んでいるので、陳列では「背表紙陳列」ではなく「表紙陳列」「多フェイス陳列」を徹底し、お客さんが欲しい商品をすぐに見つけられるように工夫している。


コスプレや大規模なPOPも活用して、短期間で売り切る

 次のグラフは、鉄道利用者が駅ナカに欲しいと思っている業態を私が調査した結果である。46%と半数近くの人がコンビニを求めており、本屋が22%、カフェが15%で続いており、この傾向は全国一律だった。利用客のニーズに合わせるべきか、まだ利用客が気が付いていない潜在的なニーズを喚起して新たなマーケットを創造するか。これは現在でも悩み続けている課題である。

 もちろんターゲットは鉄道利用客なので、「通過客であること」「買い物時間が短いこと」をベースにマーケティング戦略を練り上げないと失敗するのだが、こうしたことを考えながら次の一手を検討しているところだ。

著者プロフィール:笠井清志

JR東日本リテールネット・コンビニエンス営業部長。ゼネコン、コンビニチェーン本部、コンサルティング会社を経て現職。小売業・サービス業を中心に多店舗展開チェーン(特に駅ナカ・空港等の限定商圏マーケティング)を中心に活動。NEWDAYSが2007年度から3年連続で1店舗平均日商でセブン-イレブンを抜いた実績のサポートを行う。月刊コンビニ(商業界)での執筆、海外メディア「Financial Times」等取材実績多数。著書に『コンビニのしくみ』(同文館出版)や『よくわかるこれからのスーパーバイザー』(どちらも同文館出版)がある。経営相談・講演・執筆等の依頼はこちら(kiyoshi1025@gmail.com)まで。Facebookはこちら


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