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あなたは何を売っていますか?――働く意義を自問する(1/4 ページ)

MBOや成果主義の普及で、分解的に、定量的に人事評価されるようになった現代のビジネスパーソン。しかし、細分化された評価のもとでは、将来への道筋が描きにくくなります。それを防ぐためにも、自分が何のために働いているのかということを明確にするべきだと筆者は主張します。

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著者プロフィール:村山昇(むらやま・のぼる)

キャリア・ポートレート コンサルティング代表。企業・団体の従業員・職員を対象に「プロフェッショナルシップ研修」(一個のプロとしての意識基盤をつくる教育プログラム)を行う。「キャリアの自画像(ポートレート)」を描くマネジメントツールや「レゴブロック」を用いたゲーム研修、就労観の傾向性診断「キャリアMQ」をコア商品とする。プロ論・キャリア論を教えるのではなく、「働くこと・仕事の本質」を理解させ、腹底にジーンと効くプログラムを志向している。


 まず、次のシートを見てください。私が研修でやっているワークの1つです。さて、あなたはこの空欄にどんな言葉を入れるでしょうか――?(これに関する解説は本記事の後半部分で)

“部分”を重視する現代

 「還元論」と「全体論」という考え方が科学の世界にあります。

 還元論は物事を基本的な1単位まで細かく分けていって、それを分析し、物事をとらえるやり方です。人間を含め、自然界のものはすべて、部分の組み合わせから全体が出来上がっているとみます。

 例えば西洋医学などは基本的にこのアプローチで発展してきました。胃や腸などの臓器を徹底的に分析することで、さまざまな治療法を開発するわけです。

 他方、胃や腸など臓器や細胞をどれだけ巧妙に組み合わせても、1人の人間は作ることはできない。全体はそれ1つとして、意味のある単位としてとらえるべきだというのが全体論です。東洋医学は主にこのアプローチです。

 この2つの立場は、どちらが良い悪いというものではなく、バランス良く双方を取り入れて扱っていくのが賢明なやり方です。しかし、現代文明は何かと還元論に偏重してきています。

 何事も論理的に分解をして、分析的に、定量的に、デジタル的に、科学的に考えるのが何かカッコイイ、合理性に満ちたアタマの良いやり方だという認識が広がっています。私たちはビジネス現場ではもちろん、日常生活までそうした還元論的な思考を進んで強要しようとしています。

 しかし、直感(直観)的に統合をして、俯瞰的に、定性的に、アナログ的に、信念的に考え行動することも同じように大事なことであり、必要なことなのです(たとえ、合理的でなく、非効率であり、ときに不格好であったとしても)。

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