柔軟で謙虚な気持ちでいるために――新年の5つの誓い:ちきりんの“社会派”で行こう!
人は年をとると、保守化し、自分目線で物事を判断するようになるもの。ちきりんさんはそれを防ぐため、「自分への5つの呼びかけ」を毎年正月に再確認しているということです。
「ちきりんの“社会派”で行こう!」とは?
はてなダイアリーの片隅でさまざまな話題をちょっと違った視点から扱う匿名ブロガー“ちきりん”さん。政治や経済から、社会、芸能まで鋭い分析眼で読み解く“ちきりんワールド”をご堪能ください。
※本記事は、「Chikirinの日記」において、2009年1月1日に掲載されたエントリーを再構成したコラムです。
新年おめでとうございます。
2011年は大震災、原発事故、国際的にもユーロ危機、バンコクの洪水などさまざまな厄災が発生しました。これらはまだ解決したとは言い難い状態ですが、今年こそ早々に、少しでも良い状況に向かっていくことを期待したいものです。
さて、お正月にはちきりんは、3年前に立てた「自分への5つの呼びかけ」を再確認することにしています。人間は誰でも年をとると少しずつ保守化し、周りが見えなくなり、自分目線ですべてを判断するようになります。それを戒め、できる限り柔軟で謙虚な気持ちを維持したいと思い、次のような言葉を思い出すようにしています。
その1.年をとればとるほど、若い人を叩きたくなります。気を付けましょう
「最近の若い人は……」などと言い出したら、年をとった証拠です。意地でも口にしないよう踏ん張りましょう!
その2.何かに詳しくなればなるほど、その分野での新しい動きやアイデアに否定的になります。気を付けましょう
拙著『自分のアタマで考えよう』でも書きましたが、知識が増えれば増えるほど、ゼロから思考することを怠りがちになります。
時代は変わっているのです。過去の知識にとらわれて何でもすぐに否定してしまうのではなく、常に素直な気持ちで新たにやってくる変化を歓迎したいものです。
その3.何かを得れば得るほど、それを得たのは自分の実力だと思い込みたくなります。気を付けましょう
たとえ大きな成功があっても、その理由の多くは偶然であったり、さまざまな条件に恵まれた結果であったりします。自分の考えが巧くいった!とだけ思い込んで過信するとロクなコトになりません。
その4.持つものが多くなればなるほど、人は動けなくなってしまいます。気を付けましょう
年を取ると人が保守化するのは、より多くのものを手に入れ、それを失いたくないという気持ちが強くなるからです。しかし、自分の手の中にあるものを守ることに固執すると、より大きなものが手に入ろうとしている時に、そのチャンスを自ら拒んでしまうことにもなりかねません。いつでも自由に動けるよう心がけていたいものです。
その5.うまくいかないことが続けば続くほど、「明日もきっと暗いに違いない」と思いたくなります。気を付けましょう
昨年来、大変なことが起こり続けていますが、ちきりんは日本の未来が暗いとは思っていません。この国にはまだまだすばらしいモノがたくさんありますし、世界中の人々が問題を解決すべく智恵を絞っています。私たちは今までもそうやって、これだけ豊かな世界を作り上げてきたのです。自信を持って新しい年を迎えましょう。
今年もよろしくおねがいいたします!
そんじゃーね。
著者プロフィール:ちきりん
兵庫県出身。バブル最盛期に証券会社で働く。米国の大学院への留学を経て外資系企業に勤務。2010年秋に退職し“働かない人生”を謳歌中。崩壊前のソビエト連邦など、これまでに約50カ国を旅している。2005年春から“おちゃらけ社会派”と称してブログを開始。著書に『自分のアタマで考えよう』『ゆるく考えよう 人生を100倍ラクにする思考法』がある。Twitterアカウントは「@InsideCHIKIRIN」
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