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“業界標準”のサービス価格、10分1000円のナゾそれゆけ! カナモリさん(1/2 ページ)

マッサージ、美容室、ネイル……。ふと気が付けば、10分1000円という値段が巷にあふれかえっている。年初のコラムは、少し「時間」について考えてみたい。

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それゆけ! カナモリさんとは?

グロービスで受講生に愛のムチをふるうマーケティング講師、金森努氏が森羅万象を切るコラム。街歩きや膨大な数の雑誌、書籍などから発掘したニュースを、経営理論と豊富な引き出しでひも解き、人情と感性で味付けする。そんな“金森ワールド”をご堪能下さい。

※本記事は、GLOBIS.JPにおいて、2012年1月13日に掲載されたものです。金森氏の最新の記事はGLOBIS.JPで読むことができます。



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 ちょっとイメージが伝わりにくいかもしれないが、「特殊技能を持った無名のスタッフが提供する、原材料比率が低いサービス業」という業種の大きなくくりを定義してみる。具体的に言えば、理美容、ネイルアート、マッサージ、スポーツトレーナーなどだ。何らかのサービス提供の場(ハコ)は必要で一定の固定費は発生するが、サービスに要する原材料の費用は総じてゼロか低い。

 では、それらの価格の相場はいくらかといえば、おおむね「10分1000円」だ。最も分かりやすい例でいえば、低価格理髪チェーンとして有名な「QBハウス」。カットのみ。洗髪、ヒゲ剃り、セットなしで10分1000円。だが、同チェーンが理容業界で価格破壊を起こしているかといえば、実はそうではない。フルサービスの旧来の理髪店もサービス提供時間が40分程度で価格は4000円程度のはずだ。つまり、10分1000円。美容室もカットで60分6000円。パーマで90分9000円。10分1000円換算になるだろう。

 理美容だけではない。ネイルアートもツメの形を整え、甘皮処理をし、表面を磨くという最も基本のコースだと40分4000円。マッサージは大手チェーン「てもみん」の価格がスタンダードとなったのか、30分なら3000円、60分なら6000円と各コースの10分単価は1000円が程度だ。マンツーマンのスポーツトレーナーは60分6000円が多い。

 10分1000円。少しこの数字に注目してみたい。いつのころからか分からないが、この値段感覚が我々庶民の間に根付いていることに気付く。これより高ければ、「一体ほかのサービスとどこが違うのか」と詮索し、安ければ「本当にサービスは大丈夫か」と疑う。誰かこの「10分1000円」普及の歴史について知っている人がいれば教えてほしい。

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