連載
「従軍慰安婦」抗議からみえる、日本で起きるデモの「未来」(後編):ニッポンの紛争地帯をゆく(3/5 ページ)
抗議デモを「参加者目線」でレポートしていく本連載。前編に続き、「従軍慰安婦」をめぐる抗議活動の様子をお送りする。マスコミが報じない現場の混乱から見えてきた「2012年の抗議デモ」とは?
あわや「将棋倒し」の大事故に?
「朝鮮人は日本からひとりのこらず出ていけー」
警官隊にもみくちゃにされながら男性がマイクで叫ぶ。「従軍慰安婦」の会見場までおよそ200メートル。異常事態に気付いた「人間の鎖」のメンバーたちも、これ以上進ませないように地下鉄出口周辺に集まってきた。日比谷公園で私に怒声を浴びせた長髪男性も、外務省前に“上陸”を果たした「在特会」を憎々しげに睨んでいる。
「かーえーれ! かーえーれ!」
コールとともに「在特会」が警官たちを退けていく。若い警官たちがさらに押し返す、ってアブないって!
「在特会」の後ろの人たちが階段をのぼっているところだ。このまでは将棋倒しで大事故になるぞ!
とヒヤッとしたところで、「鬼軍曹」っぽいベテラン警官が颯爽(さっそう)と現れ、群衆を押し返している制服警官たちを次々と襟首をつかんで後ろに引きずる。
「聞け! オレの話を! 壁をつくれ壁を!」
なるほど、少し後退して駅の出口を取り囲むように壁をつくってそこから進ませないわけね。「在特会」とおしくらまんじゅうをしていた若い制服警官らの目は完全に泳いでいたが、さすがベテラン。冷静な判断である。
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