福島第一原発事故以来、メディアなどで頻繁に取り上げられるようになった放射線問題。放射性物質が食品に混入すると汚染地域以外の人々にも影響を与えることになるが、どのような意識を持っている人が多いのだろうか。
ラクトフェリンなど放射線の被ばく低減化の可能性がある物質を研究している「機能性物質による被ばく低減化研究会」の調査によると、20〜50代男女に放射線対策の状況を尋ねたところ、震災直後(3月中旬〜4月上旬)に対策していた割合は26%だったが、現在対策している割合は22%とやや減少していることが分かった。
対策をしていない人に理由を聞くと、最も多かったのは「対策方法を知らないから」で24.1%。以下、「放射線によって体に影響があるような被ばくはしない/体への影響は少ないと思うから」が21.6%、「周りに対策をとっている人がいないから」が17.0%、「放射線による被ばくをある程度なら受け入れようと思うから」が14.5%で続いた。
ただ、「もし、放射線による被ばくを防ぐための対策法があるとした場合、取り組んでみたいですか?」と聞くと、76.2%が「取り組んでみたい」と回答した。
食品・飲料からの被ばくは気になっていますか?
いくつかの自治体では保護者などからの要請に応えて、学校給食に含まれる放射性物質を測定し、結果を公表している。「食品・飲料からの放射性物質による被ばくが気になっている」という割合は、61.9%と半数を超えた。特に6歳未満の子どもを持つ人では7割を超えていた。
また、「体内への放射線の影響を減らせる可能性がある物質を含んだ食材を食べることで放射線対策ができるとした場合、取り組んでみたい」という割合は71.0%。「放射線の影響を減らせる可能性がある成分が含まれていると好ましい食材」では「野菜」(40%)や「炭水化物(ごはん、パン、うどんなど)」(37%)、「乳製品」(36%)など、毎日の生活で摂取量が多い食材が上位にランクインした。
インターネットによる調査で、対象は20〜50代男女1200人(男性600人、女性600人)。調査期間は2011年12月26日と27日。
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