コラム
凍えるヨーロッパで、路上生活者はどのように暮らしているのか:松田雅央の時事日想(3/3 ページ)
シベリア寒気団が張り出した影響で、欧州では厳しい寒さが続いている。欧州全域で死者が300人を超えているなか、路上生活者はどのようして寒さをしのいでいるのだろうか。
ここでも昔は給食サービスを行っていたそうだが、路上生活者が集まると駅の雰囲気が悪くなるという現実問題もあり、駅との取り決めで廃止された。複数の教会系福祉団体が市内で給食サービスを行っていているので、必要な人にはそこを紹介する。
休憩スペースに小さな子供のための遊具や本が置いてあり、戸棚には着る物に困った人に与える防寒帽、長袖シャツ、セーター、靴下まで準備されている。すべて寄付により集めたものだ。カールスルーエ駅のバンホフス・ミッションで働くのは2人の常勤職員と10人余りのボランティア。事務所は駅が提供しており家賃や光熱費はかからないが、人件費・運営費は団体が自前で払う。財政的にはほとんど寄付で賄われており、自治体から若干の補助を得ている。
欧州の冬は命の危険を感じるほど厳しい。最後の一線を越える前に頼れる福祉団体や教会の活動といった「草の根のセーフティーネット」が弱者の命を守っている。
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