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縮小し続けるボウリング市場、栄光の時代はよみがえるか?嶋田淑之の「リーダーは眠らない」(3/4 ページ)

かつて、中山律子さんなどの女子プロがメディアで注目を集めるなど、華々しい時代があったボウリング。しかし今、娯楽の多様化などで市場が急速に縮小しつつある。ボウリング業界の現況と今後取るべき道筋について、日本ボウリング場協会の中里則彦会長に尋ねた。

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「檻から出ろ」と言っても出にくい現実

 「時代認識として、ボウリング業界もコンピュータ・ボウリング導入などに代表されるハード志向の時代は一段落し、今や明らかにソフト志向の時代になっています。それは言い換えれば“待つ商売からの脱却”ということです。お客さんに対するホスピタリティ・レベルを上げていくべき時代だということです。

 ところが当センターも含め、日本の大多数のボウリング場は昭和40年代に作られたもので、そこにいる経営者や正社員も総じて高齢化しています。そうしたこともあって、ボウリング業界の良かった時代のやり方がしみ付いてしまっていて、プライドもあるでしょうし、現代の経営環境に即したやり方に自らを変えていくことが難しいのです。

 それだけではありません。景気の良い時は一般ボウラーにも目が向きやすいのですが、今のような長期不況下にあっては、どうしても売り上げの中心をなしている競技ボウラーにばかり目が行きがちになるのも事実です。

 また、せっかく現代的なホスピタリティ・センスを身につけた若い人が入社してくれても、“朱に交われば赤くなる”で、いつの間にか古いやり方に染まってしまいがちなのですよ。

 私は毎日口をすっぱくして『檻(おり)から出ろ!』と言い続けています(笑)。フロントの中に閉じこもっているだけで仕事をしたつもりになっているけれどもそれではダメで、積極的にフロントを出て、お客さんと触れ合えとハッパをかけているのですが、まだまだ十分とは言えません。そのため、積極的に話しかけてくる常連さんたちとのコミュニケーションはあっても、一見さんなど新規顧客のみなさんへの対応が不足しがちになるんです」


中里さんは「フロントの中に閉じこもっているだけで仕事をしているつもりになってはいけない」と言う

 では、新規に来場されたお客さん1人1人に対して笑顔で声を掛けるとして、どんなタイミングで、どんな点に気を付けて行うのが効果的なのか? それに対する中里さんの答えは明確だ。

 「お客さんがストライクやスペアを取れた時にハイタッチしてあげたり、あるいはどうすればスペアを取りやすいかを具体的にアドバイスしてあげたりするのも効果的です。一般ボウラーのお客さんでも『うまくなりたい』という気持ちは一緒ですから、結果が出ればうれしいし、『また来よう!』という気持ちになって、次第に定着していくものなのです。

 また、マイボウルを持参されている場合にはそれを持ってあげて、先に階段を上って玄関までお送りするとかも大事ですね」

 こうしたことがキチンとできるホスピタリティ・レベルの高い一部のボウリング場は、ラウンドワンを始め、いずれも顧客からの支持が高いそうだが、それは当然のことだろう。いかにして、それを業界全体に浸透させていくかだ。

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