ビジネスパーソンの6割、「勤務先の震災対策は不十分」
あなたの会社では、地震対策は十分に行われていますか? ビジネスパーソンに聞いたところ、6割が「不十分」と答えた。労務行政研究所調べ。
東日本大震災が発生してからまもなく1年が過ぎようとしているが、勤務先で行われている地震・災害対策は十分に行われている、と感じている人はどのくらいいるのだろうか。ビジネスパーソンに聞いたところ、「十分である」と答えたのはわずか4.1%、「ほぼ十分である」(36.3%)を合わせても4割程度にとどまっていることが、労務行政研究所の調査で分かった。
一方で「全く足りない」(28.0%)と「やや足りない」(31.5%)を合わせると、ほぼ6割が勤務先の対策の現状を「不十分」と見ている。不十分な理由を聞いたところ「対策が何も行われていない」「対策の内容を知らされていない」「会社(あるいは上司・管理者)の意識が低い」といった指摘が目立った。
震災後、職場の中ではどのような変化が現れているのだろうか。「使わない電灯や機器の電源を切るなど節電意識が高まった」(76.7%)と答えた人が最も多く、次いで「防災・避難訓練への参加意識が高まった」(36.7%)、「なるべく残業を控える意識が高まった」(34.0%)と続いた。「夏場に政府が定めた一律15%カット減の節電目標への対応、首都圏では短期間とはいえ実際に行われた計画停電などの経験から、節電への意識と行動が根付いているといえるだろう」(労務行政研究所)
震災の教訓への意識
周囲で震災の教訓に対する意識・関心が薄らいでいると思いますか? この質問に対し「薄らいでいると思う(ややを含む)」と答えたのは59.6%。その理由を聞いたところ「マスコミ、ニュースで取り上げられる機会が減った」「原発事故の話題に移ってきた」など報道の影響力を指摘する声があった。このほか「緊張感が薄れてきた」「地震に慣れてきた」といった意見もあった。
震災の教訓を風化させないために、勤務先に望むことを聞いたところ「訓練などの定期的な行動で定着を図るべき」(26.1%)と答えた人が最も多く、次いで「震災で表面化した問題について、具体的な対応を進めるべき」(21.0%)だった。
インターネットによる調査で、20〜59歳のビジネスパーソン485人(岩手、宮城、福島の3県を除く)が回答した。調査期間は1月27日から31日まで。
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