日本に生まれたことの幸運さ:ちきりんの“社会派”で行こう!(2/2 ページ)
社会に出ると、さまざまなシーンで周りの人との格差が気になってしまうもの。しかし、ちきりんさんは「与えられた環境で、楽しく一生懸命生きればいい」と説きます。
与えられた環境で、楽しく一生懸命生きればいい
もちろん、恵まれているからといって卑屈になる必要はありません。そして、恵まれていないからといって、怒ったり悩んだりしても何も変わりません。
ちきりんもよく「超お金持ちの家に生まれていたら……」とか「超美人に生まれていたら……」などと思いますが、今は与えられた環境と条件でやっていくしかありません。
また、自分より恵まれていないすべての人を助けることもできません。私は「アフリカでは子どもが飢え死にしているのよ。だから、嫌いなにんじんも残さず食べなさい」という理屈が好きじゃないです。私がにんじんを食べても残しても、アフリカの餓死者数は変わりません。
自分は自分の与えられた環境で、楽しく一生懸命生きればいいと思うのです。女が不利だから男になりたいとも思いません。けれど、いろんな条件の人がいることは、早めに知った方がいいと思います。
ちきりんが「こんなに差別されるのね」と初めて知ったのは、就職活動を始めた22歳の時でした。今思えば、あのタイミングで「努力ではどうにもならないことがある」と理解できたのは幸運でした。
そうでなければ、無駄に努力する人生を送っていたかもしれません。自分に手に入るものと、手には入らないものがあることを理解し、自分の持っているカードで人生を乗り切り、楽しくやっていこうと思えるようになりました。私が目標を低く持ち、自分の“分”の範囲で十分幸せを感じられるのは、あの時の学びがあるからだと思います。
そんじゃーね。
著者プロフィール:ちきりん
兵庫県出身。バブル最盛期に証券会社で働く。米国の大学院への留学を経て外資系企業に勤務。2010年秋に退職し“働かない人生”を謳歌中。崩壊前のソビエト連邦など、これまでに約50カ国を旅している。2005年春から“おちゃらけ社会派”と称してブログを開始。著書に『自分のアタマで考えよう』『ゆるく考えよう 人生を100倍ラクにする思考法』がある。Twitterアカウントは「@InsideCHIKIRIN」。
現在、前横浜市長の中田宏さんとの対談「ちきりん×中田宏、政治家を殺したのは誰か」が連載中です。
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