売上低下が止まらないキオスク、次の一手は「店舗のラッピング」:エキなか!(2/2 ページ)
雑誌、新聞の売上低下などで、経営が厳しくなっているキヨスク。売上減少を補うため、店舗を広告商品として売り出す試みを推進している。
店舗ごと広告商品に
こうした店舗壁面を販売するビジネスモデルをさらに発展させたのが、“ラッピング店舗”である。広告料金は駅のランクと広告面積で算出するのだが、JR東京駅中央通路のキヨスクで行おうとすると値段は月200万円ほど。詳しく知りたい方は、ジェイアール東日本企画に確認していただきたい。
ちなみにJR東京駅中央通路にある当社キヨスク前を通過する人の数(店頭通行量)は平日が平均18万人、休日が平均15万人。鉄道会社のルールによって告知できる業態に違いがあるのだが、有効なプロモーション場所であることは間違いないだろう。
そして、もう一段階発展させたのが、「ラッピング店舗+商品販売プロモーション」の展開だ。ラッピング店舗で商品をアピールし、商品売り場や販売員のユニフォームも広告に連動させるという企画である。
これまで、伊藤園「お〜いお茶」、ロッテ「キシリトール」、森永製菓「ウイダーinゼリー」など、通勤・通学客に向けて商品告知・拡販を行いたい消費財メーカーがプロモーションとして活用している。
一般のコンビニではテレビCMの売り上げに与える影響が大きいが、駅ナカにあるNEWDAYSは店頭展開や交通広告などの影響が大きい。2011年9月、サントリー「なっちゃん」の棚販促を行った時、実施店舗は未実施店舗と比較して70%増以上の効果が見られた。そこで今後の施策としては、店頭展開からラッピング車両広告、車内広告を絡めた複合的なマーケティングを検討しているところだ。
著者プロフィール:笠井清志
JR東日本リテールネット・コンビニエンス営業部長。ゼネコン、コンビニチェーン本部、コンサルティング会社を経て現職。小売業・サービス業を中心に多店舗展開チェーン(特に駅ナカ・空港等の限定商圏マーケティング)を中心に活動。NEWDAYSが2007年度から3年連続で1店舗平均日商でセブン-イレブンを抜いた実績のサポートを行う。月刊コンビニ(商業界)での執筆、海外メディア「Financial Times」等取材実績多数。著書に『コンビニのしくみ』(同文館出版)や『よくわかるこれからのスーパーバイザー』(どちらも同文館出版)がある。経営相談・講演・執筆等の依頼はこちら(kiyoshi1025@gmail.com)まで。Facebookはこちら。
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