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コラム

JR東日本は三陸から“名誉ある撤退”を杉山淳一の時事日想(3/6 ページ)

被災地では、いまだがれきが山積みのままだ。現在、がれきをトラックで運び出しているが、何台のトラックが必要になってくるのだろうか。効率を考えれば、鉄道の出番となるのだが……。

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BRTとはなにか

 BRTとは、バス・ラピッド・トランジット(Bus Rapid Transit)の略だ。簡単に言うとバス専用道路を使った交通システム。専用道路を使うから、クルマの渋滞に影響されない。一般道の法規に合わないような大型バスや連接バスも導入できるなどのメリットがある。最近の報道では、旧鹿島鉄道の廃線跡を使ったBRTシステム「かしてつバス専用道」が引き合いに出されているが、日本での実用化は第三セクターの「名古屋ガイドウェイバス」が先んじている。


名古屋ガイドウェイバスの車両。前輪の手前にガイド車輪が見える

名古屋ガイドウェイバスの「線路」

 「名古屋ガイドウェイバス」はバス車体に「ミニ四駆」のような案内輪をつけ、道路側のガイドレールに沿って走る方式。運転士のハンドル操作が不要になるだけではなく、道幅が最小限になるというメリットもある。鉄道より建設コストも安い。ただし、バス側に案内輪装置が必要になるなど、バス路線としてのコストは高めだ。名古屋近郊というロケーションにもかかわらず、経営は芳しくないという。

 JR東日本が想定するBRTは、既存の線路をアスファルトで埋めて既存のバスを走らせる「かしてつバス専用道」方式である。JR東日本が挙げたBRTのメリットは、「鉄道と同じ運賃を維持できる」「すれ違いが容易で運行本数を増やせる」「駅(停留所)の増設コストが安い」「一般道に寄るなど柔軟な運行ルート設定が可能」などである。「かしてつバス専用道」は利用者の評価が高いという。

 しかし、JR東日本が運営する以上、鉄道だろうとバスだろうと同じ運賃にするのは当たり前だ。早急に運行本数の増加が必要な路線でもないし、駅を増やせると言っても、新駅が必要な集落が元々少ない。一般道も運行できるメリットは理解できるけれど、これはDMVを開発したJR北海道や、導入を検討中の各地のローカル線の担当者にとって穏やかではないだろう。鉄道の存在自体を否定しかねない案だからだ。

 もっとも、JR貨物は「オフレールステーション」という方式で、幹線以外のトラック輸送転換に着手している。貨物列車のトラック化をJR貨物が実施しているわけだ。

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