TOKYO CULTURE CULTUREで新しいカルチャーを――プロデュースの裏側を聞く:嶋田淑之の「この人に逢いたい!」(5/5 ページ)
トークライブハウスとして人気を集めているお台場のTOKYO CULTURE CULTURE。多くの人が関心を持つイベントを企画、運営するための秘けつを、同店プロデューサーのテリー植田さんに尋ねた。
あと10年のうちに“黄金時代”を
今年41歳を迎えるテリーさんだが、最近、言い知れぬ危機感と焦燥感を覚えているという。
「自分がイベントプロデューサーとして第一線で仕事できるのは、発想力や体力といった面からいって、せいぜいあと10年かな……と思っているんです。そうだとすれば、残りの10年間に何とか我が人生の“黄金時代”を創出しないといけない。そのためには、今まで以上に面白いと思える人と出会える打率を高めていく必要がある。でも、もうカウントダウンが始まっている。そう思うと、ものすごい危機感を感じます」
大企業の正社員なら、年齢相応に経営サイドに身を移し、それまでとは別の立場から企業や社会に貢献していく手も残されているが、テリーさんのようなアーティスト寄り、クリエイター寄りのフリーランスのプロデューサーの場合は、そういう転進が難しい。それゆえ、自分の才能や体力が残っているうちに、残り数十年の人生への備えをしないといけない。
テリーさんとしては、残り10年の間に自分の人生の代表作と言えるような仕事を成し遂げることで、それを後半生への足がかりにしようと考えているのかもしれない。しかし、猛烈に多忙な日々を送っているうちに、あっという間に月日は流れてしまう。危機感、焦燥感が募っていくのも当然のことだ。
テリーさん自身の今後の動向、それは言い換えればテリーさんと一心同体と称していいTOKYO CULTURE CULTUREの将来を、どうするかということにもつながる。ファンにとっても大変気になるところだろう。
「TOKYO CULTURE CULTUREの運営という点から言えば、こうした“箱”があるお陰でたくさんの面白い人と出会えるわけですが、収益的には上限があり、どんなに頑張ってもそれ以上にはなりません。
しかし、だからと言って十年一日のごとく同じことばかり続けていれば、当然のことながら、お客さんに飽きられてしまいますから、新しい展開を考えていかなければいけません。
そこで、今後の方向性に関してですが、例えば最近、地方自治体や企業からの依頼を受けて、TOKYO CULTURE CULTUREでイベントを企画制作したり、各地に出張してイベントを実施したりすることも増えているので、そういう『外部での委託業務』を拡大していく方向はあると思います」
テリーさんとTOKYO CULTURE CULTUREは、これから一体どこに向かっていくのだろうか。そして、数年後、果たしてどのような“黄金時代”が到来するのだろうか? 今後の方向を模索しつつ、彼は、大好きな新宿ゴールデン街を今夜も飲み歩く。
嶋田淑之(しまだ ひでゆき)
1956年福岡県生まれ、東京大学文学部卒。大手電機メーカー、経営コンサルティング会社勤務を経て、現在は自由が丘産能短大・講師、文筆家、戦略経営協会・理事・事務局長。企業の「経営革新」、ビジネスパーソンの「自己革新」を主要なテーマに、戦略経営の視点から、フジサンケイビジネスアイ、毎日コミュニケーションズなどに連載記事を執筆中。主要著書として、「Google なぜグーグルは創業6年で世界企業になったのか」、「43の図表でわかる戦略経営」、「ヤマハ発動機の経営革新」などがある。趣味は、クラシック音楽、美術、スキー、ハワイぶらぶら旅など。
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