ソーシャルゲーム界の雄、国光宏尚氏の世界制覇シナリオ:New Order ポスト・ジョブズ時代の新ルール(3/4 ページ)
アイテム課金方式をとるソーシャルゲーム市場が花盛りの日本。中でも急成長しているベンチャーgumiを率いる国光宏尚氏は「日本には圧倒的なアドバンテージがある」とし、世界へ打って出ようとしている。日本のソーシャルゲームは、世界のゲームコンテンツビジネスを変えられるのか?
「タイムマシン経営」では代替不可能な価値を生み出せない
国光 ところが、今日本最大のIT企業はどこだと思いますか。なんとYahoo! Japanです。利益も時価総額もぶっちぎりのトップは、米国発祥の企業なわけです。
結局、日本のIT企業のビジネスモデルは、米国で流行ったものを日本に持ってきて展開する「タイムマシン経営」でした。でも、タイムマシンでは絶対に世界は獲れません。オリジナルには勝てないから。
大切なのは、誰かが勇気を持って世界に出て行くことです。野茂英雄が米国に、中田英寿が欧州に行って成功を収めたから、海外に挑戦するアスリートがそれに続いた。その結果、野球もサッカーも昔に比べてはるかに強くなった。競争力が付いてきたのです。
もちろん、1社が世界を獲ったからといって、その売り上げだけで日本全体の食い扶持を稼げるわけではありません。でも僕らが成功を収めれば、それに負けじと世界に出て行く人がどんどん増えてくるはずです。
今の若い人たちに、松下幸之助や本田宗一郎を見習えと言っても、あまりにも遠い存在で、ピンとこないのではないかと思います。むしろ、「こいつにできるなら自分だってやってやる」と思えるような目標が、身近にあることが大切。それが結果的に日本を豊かにすると僕は思っています。
―― では、これからのサービスの作り手に期待することは何でしょうか。世界で通用する作り手になるためには?
国光 ここ1、2年、目に見えて進んでいるのが、作り手の給与の二極化です。特にエンジニアなどの技術職はこの傾向が顕著です。この現象は日本にとどまりませんし、今後も給与格差はさらに開いていくでしょう。
100万円に近い月給をもらう人がいる一方で、月30万円に満たない人がいる。要は、得られる給与額が、世の中に提供した価値に比例するようになってきているんです。
収益性の高いビジネス、新しいバリューを生み出せるところは、シリコンバレーのトップ企業につられて給与も高くなっていく。逆に、仕様書通り、ただ言われたものを作るだけのところは、人件費の安い国とのコスト競争で、ますます給与が下がっていきます。
すでに中国やインドには、大学を出てITスキルを身に付けた人が大勢いますし、その次には東南アジア諸国、さらにはアフリカ諸国と、人件費の競争はまだまだ続いていくはずです。高等教育を受けた人、プログラムを書けるという人は、世界中にいくらでもいます。ならば、彼らにはできない仕事、代替不可能な仕事をやっていくしかない。
しかも、変化の激しいこの時代は、代替不可能な期間はどんどん短くなっています。だから一生学び続けて、どうすればバリューオンできるのか自分の頭で考えて、アウトプットを出し続けていかなくてはいけない。
それは確かにシンドイかもしれませんが、代替不可能なバリューからしかイノベーションは生まれません。そして、代替不可能なバリューを生み出せる人材は世界でもまだまだ不足しています。
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