ゆとり教育で育った世代は、本当に仕事ができないのか:これからのことがよく分かるコラム(4/4 ページ)
「若手社員が思うように育たない。その原因は“ゆとり教育”にある」と思っている人もいるだろう。しかしこの考え方は、本当に正しいのだろうか。原因は学校教育にあるのではなく、バブル崩壊以降の働き方の変化にあるのかもしれない。
(2)変わるべきは我々。思い込みを捨て、まず新人・若手の話を聞こう
変わらなければならないのは新人・若手ではなく、受け入れ側である先輩・上司でなければいけません。先輩・上司はパラダイム転換に適応した新たな育成システムに取り組んでいく必要があるでしょう。
しかしながら、「パラダイム転換」といっても「すぐに考え方は変わらない」という人も多いかもしれません。確かにその通りです。まず大事なことは「最近の新人・若手はこうだから」という思い込みを捨てること。
例えば、あなたが依頼した仕事に対して新人・若手が何も報告・相談をしてこない場合を考えてみてください。その時に「最近の新人・若手は何も聞いてこない。やる気がないんじゃないのか?」と決め付けるのではなく、「なぜ聞いてこないのか? 何を考えているんだ?」と発想を切り替えて、まずは新人・若手の話を聞いてみてください。そうすると、「聞きたかったけど、忙しそうで質問できなかった」など、何らかの返答があるはず。新人・若手は自ら働きかける力は弱いですが、こちらからの問いかけにはちゃんと答えてくれるでしょう。
起こりがちな状況としては、新人・若手の話を聞かずに「何で聞いてこないんだ?」といきなり話してしまうこと。新人・若手は知らないことを聞くことに慣れていません。
そのような状況でいきなり話をされると、怒られたと感じて益々話をしなくなってしまいます。いきなり「話す」のではなく、まずは新人・若手の話を「聞く」ことから始めてみてはどうでしょうか。
育成の構造変化は、もはや止めることができない不可逆な流れです。ですが、構造変化を嘆いていても何も変わりません。現場の上司や先輩、1人1人の行動の変化が新人・若手の早期戦力化につながり、会社全体の活性化につながるのです。
4月。自分の部署に新入社員が入ってきた、という人も多いでしょう。その新人たちの働きぶりをみて嘆くのではなく、自分自身に何ができるのかを考えてみるところから始めてみてはいかがでしょうか。
関連記事
- 2012年の転職市場はどうなる? 雇用環境をひも解けば“今”が見えてきた
景気はいまひとつパッとしないが、2012年の転職市場はどうなっているのだろうか。そこでリクナビNEXTの黒田真行編集長が現状を分析するとともに、今後のトレンドについても予測した。 - 大企業の正社員、3割は会社を辞める
東日本大震災の発生以降、「今後どのように働いていけばいいのか」と考えるビジネスパーソンも多いのでは。ポスト大震災の働き方について、人気ブロガーのちきりんさんと人事コンサルタントの城繁幸さんが語り合った。 - どうすればいいのか? 年収300万円時代がやって来る
景気低迷などの影響を受け、会社員の給料が下がり続けている。低年収時代に会社員はどのように生きていけばいいのだろうか。この問題について、人事コンサルタントの城繁幸さんとフリーライターの赤木智弘さんが語り合った。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.