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インタビュー

「ニーズは発明の後に生まれる」――ロボットクリエイター高橋智隆が語るモノづくりの新機軸New Order ポスト・ジョブズ時代の新ルール(2/4 ページ)

世の仕組みを変えうるプロダクト創出の条件として、「機能対デザインの争いから脱却し、自分が面白いと思うものを徹底的に追求すること」を挙げるロボットクリエイター・高橋智隆氏。なぜ今、“あえてユーザーニーズを聞かない”プロダクト開発が、重要性を帯びてきているのか?

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デザインがいい加減な製品は、間違いなく設計もいい加減


「最初にコンセプトを立て、それに従ってプロダクトを開発することで、デザインと機能の乖離が最小限に抑えられる」(高橋氏)

高橋 でも、「機能を優先しているからデザインが二の次になってしまう」というのは言いわけです。

 私は、デザインがいい加減なものは、そもそも設計自体がいい加減だと思っています。しっかりとしたコンセプトをもって、真剣にモノづくりをしていけば、必然的に中身も外観も良いものができる。

――実際に高橋さんがロボットを作るときは、どのような流れになるのでしょうか?

高橋 まずはコンセプトを立てます。私の場合、機能面から発想することは少ないですね。素早く走ったり、ジャンプしたりするロボット『ROPID』を作った時は、移動速度や跳躍力といった機能・性能面からではなく、「子どもが走り回るような動き」ができれば、躍動感が生まれ、より生きている感じが増すのではないかと考えたからです。

 女性型ロボット『FT』の時も同様です。当時、二足歩行ロボットは男性型ばかりで女性型がないということに気付き、女性型ロボットというコンセプトを基に、技術的な実現方法を考えました。

 実は、細身の体型に機構を収めるのが難しいために、女性型ロボットが存在しなかったのです。そこで、コンパクトな部品を探し出してその配置に工夫を凝らしたり、フォルムや動きの女性らしさを追求したりしました。

 メドが立ったら、すぐに製作に取りかかります。私は全部1人で作っているので設計図も必要ありません。スケッチを描きながら、外観デザインも部品の形状や寸法から加工法まで同時に考えながら、実際に部品を削って作り進めていきます。

 例えば、格好良いロボットの絵を描ける人はたくさんいます。しかし、たくさんの部品が詰まり、可動部だらけのロボットを実現するには、技術的な制約は避けて通れません。すべてが機能とデザインのトレードオフなのですが、自身でそれぞれベストの解決策を考えていけば良い。

 こんな時、チームで仕事をしていると、それぞれの観点で、機能やデザイン、コストなどバラバラに要求され、結果どれも中途半端な製品になってしまいがちです。明確なコンセプトを貫いたモノづくりができるのは、1人でやっている最大のメリットですね。

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