国や組織の目標と個人目標、どちらが先であるべき?:ちきりんの“社会派”で行こう!(3/3 ページ)
企業経営においては、組織目標がまず立てられ、それを個人目標に落としこむという手法が使われます。しかし、国の運営に当たって、それと同じやり方をとることは正しいのでしょうか?
組織目標が先か、個人目標が先か
では発想を変えて、先に個人の目標を立て、その実現を国が支援する、という方向で考えてみましょう。
個人の目標は人によって違います。「世界で尊敬される起業家や研究者になりたい!」という人もいれば「のんびり暮らしたい」「一生、ゲームをしていたい」という人もいるでしょう。
全体として、例えば「世界のトップを目指したい人10%、まじめに働き、安定した暮らしを望む人60%、できるだけ働きたくない人30%」というのが国民の希望だとすれば、それをどう実現していくか、というのが国、もしくは時の政権に課される責務となります。これが「個人目標が先、組織がそれを支援する」という考え方です。
日本は明治以来ずっと「国民の豊かさ」ではなく「日本国の豊かさ、強さ」を目指してきた国です。時には個人さえ、個人の幸せより所属組織の目標達成を望んできた部分もあったでしょう。
例えば、スポーツ選手で「チームはボロ負けしたけど、自分は大会MVPに選ばれた」より、「MVPはとれなかったけど、チームが優勝!」の方がうれしい人はたくさんいます。同様に、自分は貧しくても日本が先進国になることを喜ぶ人は一定数いたはずです。
では今、私たちはどちらで目標を立てたいと考えているのでしょう? 今までのように日本国として目標を設定し、それを達成するためにみんなで頑張りたいのでしょうか。それとも、個人の目標を先に立て、それを可能にしてくれる政権を選びたいのでしょうか?
組織目標が先か、個人目標が先か、そこが問題なのです。
そんじゃーね。
著者プロフィール:ちきりん
兵庫県出身。バブル最盛期に証券会社で働く。米国の大学院への留学を経て外資系企業に勤務。2010年秋に退職し“働かない人生”を謳歌中。崩壊前のソビエト連邦など、これまでに約50カ国を旅している。2005年春から“おちゃらけ社会派”と称してブログを開始。著書に『自分のアタマで考えよう』『ゆるく考えよう 人生を100倍ラクにする思考法』がある。Twitterアカウントは「@InsideCHIKIRIN」。
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