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なぜジブリは国民的映画を創り続けるのか新連載・アニメビジネスの今(1/4 ページ)

『もののけ姫』『千と千尋の神隠し』など、映画史に残る作品を数々送り出してきたスタジオジブリ。世界の映画史におけるその位置付けを改めて確認し、何が今、課題となっているのかを探る。

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「アニメビジネスの今」とは

今や老若男女を問わず、愛されるようになったアニメーション。「日本のアニメーションは世界にも受け入れられている」と言われることもあるが、ビジネスとして健全な成功を収められている作品は決して多くない。この連載では現在のアニメビジネスについてデータをもとに分析し、持続可能なあるべき姿を探っていく。


 「初回の原稿はスタジオジブリ(以下、ジブリ)について」という編集からのお達しに頭を抱えた。今や、国民的映画となったジブリ作品。それについて語るのは、あまりにも荷が重い。とはいえ、アニメ産業を語る上でその存在を無視することができないのも確かだ。

 ということで、2011年の『コクリコ坂から』と2012年公開予定の宮崎駿、高畑勲作品の狭間にある2012年現在のジブリの状況について今回は述べてみたい。

唯一無比のビジネスモデル

 ジブリとはどういう存在なのか。アニメという枠を超えた社会的存在となっていることは間違いないが、そのビジネスモデルは日本では比較する対象がないので把握しづらい。


スタジオジブリ

 なぜならテレビアニメが主流の日本において、ジブリは原則的にオリジナル※の劇場アニメしか手がけない唯一無比のアニメスタジオであるからだ。

※オリジナル原作という意味ではない。日本で主流のテレビアニメの劇場版ではなく、劇場アニメのためのオリジナル企画という意味。

 その意味では、ピクサーやドリームワークスのようなハリウッドタイプのスタジオと言える。そもそも映画ビジネス自体が高いリスクをはらんでいる中、技術的にはもちろん、ビジネス的にも難易度の高い劇場オリジナルアニメを作り続け、かつそれを成功させているジブリは日本では孤高の存在なのである。

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