「変わり目」こそが、部下育成のチャンスかもしれない:部下育成の教科書(5)(2/4 ページ)
「部下を育成したいけど、どうすればいいのか分からない」という上司も多いのでは。部下育成のチャンスのひとつに「変わり目」が挙げられる。では、その変わり目をどのようにして見つければいいのだろうか。
育成のポイント
あなたは部下に対して、(1)新たな段階に転換することを期待していることを告げる、(2)その「期待」とは具体的にどのようなものかを明らかにする、(3)サインを発信し、部下本人に気づかせることが、育成の重要なポイントなのです。
段階が変わるときに合わせて、昇格して肩書きがつくなどの外形的な変化がある場合もあります。これも一種の入口のサインと言えるでしょう。
しかし、昇格したからといって自動的に何かが変わるわけではありません。部下にどう変わってほしいのかを、どれだけ明示できているでしょうか。思い出してみてください。
例えば職場に手本(ロールモデル)となる身近な先輩がいない部下は、自分がどう変わったらいいかのイメージを持っていません。つまり、マネジャーであるあなたからの「このように変わってほしい」という期待こそが、部下にとってトランジションを経ていく指針となるのです。
トランジションを促進させる体験
新たな段階で期待される役割を果たそうと、任された仕事を通じて試行錯誤しながら自らを変えていく、チャレンジを伴う体験、これがトランジションに不可欠です。
トランジションを促進させる体験の例
(1)スターター(Starter)へのトランジション
- 仕事を通して多様な立場や価値観の人と接する体験
- 任された(部分的な)仕事について、顧客や周囲の反応を得る体験
(2)プレイヤー(Player)へのトランジション
- ある業務の担当者として仕事を任され、責任を持って一まとまりの仕事を進める体験
- やり始めるが分からない、うまくいかない、できない、失敗する、他部署や顧客から怒られる体験
(3)メインプレイヤー(Main Player)へのトランジション
- 顧客や関係者の矢面に立ち、関係者から協力を引き出して動かす体験
- 苦労しながらやり遂げた仕事が、周囲や顧客から評価される、感謝される体験
(4)リーディングプレイヤー(Leading Player)へのトランジション
- 職場を代表する立場として参加する業務を持つ体験
- 自分一人ではこなしきれない仕事、関係者の多い仕事を担い、人を動かして仕事をせざるを得ない状況に直面する体験
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.