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それでも桜は咲くのだ。花見ができなくなろうが:東日本大震災ルポ・被災地を歩く(4/4 ページ)
富岡町にある夜ノ森の桜並木は、福島第一原発から約7キロ地点にある。原発事故前であれば、多くの人が観光で訪れていた。しかし今は、観光客はおろか、一般住民でさえ花見ができなくなった。それでも桜は咲くものだ。
震災はまだ終わっていない
まだ震災が終わっていないことを示す象徴的な場所でもある「警戒区域」。私が20キロ圏内のエリアに入ったのは、警戒区域に設定される前の昨年3月26日だった。南相馬原町区の避難所で取材した男性の家が、20キロ圏内の小高区にあり、「今、どうなっているのか?」と心配していた。そのため、男性の家の周辺をビデオ撮影をして見せたこともあった。警戒区域に設定される数日前には福島第一原発の正門前まで行ったりもした。
富岡町は第二原発があるため、原発作業員たちの出入りが多く、時間によってはクルマの流れが多い。居住できない警戒区域にあっても、人の気配がする。飼われていた牛が逃げて「野良牛」となり、その一部は囲い込みのための柵に入っている牛を見かけることができた。空間線量は低くなっているが、人が歩いている姿を見かけることはなく、「まだ息を吹き返していない」といった印象だ。
震災取材当初、私は原発事故ではなく、津波被害に関心があった。もちろん、今でも最大の関心事だ。しかし、警戒区域およびその周辺も関心事として頭を離れない。また、取材で出会う人々の人柄も魅力的だったことも、再訪する理由だ。1回の事故で人々の暮らしを奪って行ったことの影響を見過ごせない。
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