コラム
“激安”に潜む危険性とマスコミの罪:相場英雄の時事日想(3/3 ページ)
GW中に起きたツアーバスの事故は記憶に新しい。デフレ経済が長期化し、消費者はとにかく安いほうを好む傾向がある。しかし“激安”の裏に、危険は潜んでいないのだろうか。
最後に、筆者が愛読する書籍の一節を紹介する。
「幾度となく、経済的な事由が、国民の健康上の事由に優先された。そして政府の役人は、道徳上や倫理上の意味合いではなく、財政上の、あるいは官僚的、政治的な意味合いを最重要視して行動していたようだ」(エリック・シュローサー/『ファストフードと狂牛病』/草思社)。
著者は米国の著名ジャーナリストで『ファストフードが世界を食つくす』を世に送り出したことでも知られる。この一文は、『震える牛』でも冒頭のシーンに引用した。
シュローサー氏が指摘した「国民の健康上の事由」という部分を「安全」、「安心」に置き換えてみれば、世にはびこる激安品・サービスのリスクが少しだけ分かりやすくなるのではないか。
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