コラム
リニアの足を引っ張っているのは、誰なのか?:杉山淳一の時事日想(4/4 ページ)
JR東海がリニアを語ると株価が落ちる。当初は持ち出しばかりで、回収が遠い先の話だからだ。これは現在の株式市場の参加者に問題があり、日本経済逼塞の原因を露呈している。長期プロジェクトを敢行する企業の株は誰が購入し、保持すべきだろうか。
そんなお年寄りたちを説得しよう。リニア中央新幹線は日本の資産、日本の未来。つまり、孫の世代の日本を豊かにする事業であると。タンスの中で眠らせておくより、リニア関連の企業に投資しなさい、と。リニア中央新幹線には、鉄道会社や車両メーカーはもちろん、日本を代表する金属加工、機械、電気などの製造業が関わっている。
JR東海も、事情を理解してくれない機関投資家に頼らず、積極的に事業に賛同してくれる株主を集めたらいい。個人株主への優待特典にリニア優先乗車券を付けるとか、リニア開業日乗車券付き転換社債などを発行したらどうだろう。鉄道会社の株なんて、鉄道ファンにとっては究極のコレクションアイテムではないか。
証券会社もリニア関連銘柄を集めた「リニア応援ファンド」を作ったらいいと思う。利率より、未来に投資したいという人々を発掘しよう。
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