ソーシャルゲームが儲かる仕組み:ソーシャルゲームのすごい仕組み(3)(4/4 ページ)
ソーシャルゲームのコンプガチャが景品表示法に違反する可能性があると報じられている。しかし、ソーシャルゲームではほかにもさまざまな課金の仕組みが存在している。
ソーシャルゲームに死角はないのか
さて本書の最初のパートとなる本章では、興隆著しいソーシャルゲームの現状とその仕組みについて概観を見ていった。「ゲーム」と呼ばれるため、その本質がつかみにくかったり、あたかも従来のパッケージゲームを駆逐するような語られ方がされたりすることもあるが、実際には既存のゲーム事業者と協業も図りながら、ソーシャルゲームという新しい市場を各プレイヤーが切り拓いていったイメージもつかめるはずだ。
一方で、そのあまりにも急速な成長に陰りが見えはじめているのも事実だ。図3で示された成長は、2011年ではやや成長が鈍化していることも現している。
派手なテレビコマーシャルによる国内の潜在ユーザーの掘り起こしがそろそろ限界点を迎えつつあることの証左ではないか、というのは前述のとおりだ。
第2章で詳しく述べるように、国産家庭用ゲームは米国勢に押されている。そして、PCベースのMMORPGでは韓国勢がその主導権を握っており、国内で人気を博するタイトルは韓国で開発された作品のローカライズ(地域化)されたものがほとんどだ。そんななか、携帯電話で急成長したソーシャルゲームが、果たして海外にその市場を拡げられるのかが問われる局面に入っているといえるだろう。そこには急速に進むスマートフォンシフト、それがもたらすプラットフォームへの影響など複数の要素が複雑に絡み合っている。(転載終わり)
ソーシャルゲームのすごい仕組み
この連載は4月10日に発売された『ソーシャルゲームのすごい仕組み』(アスキー新書)の第1章から抜粋、編集したものです。
まつもとあつし氏のプロフィール
ネットベンチャー、出版社、広告代理店などを経て、現在は東京大学大学院情報学環博士課程に在籍。DCM修士。ネットコミュニティーやデジタルコンテンツのビジネス展開を研究しながら、ITを切り口としたコンテンツビジネスの取材・コラム執筆を行う。著書に『生き残るメディア 死ぬメディア出版・映像ビジネスのゆくえ』(アスキー新書)、『スマートデバイスが生む商機見えてきたiPhone/iPad/Android時代のビジネスアプローチ』(インプレスジャパン)、『スマート読書入門』(技術評論社)など。
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