なぜガンダムは海外で人気がないのか:アニメビジネスの今(前編)(1/4 ページ)
30周年を迎え、お台場のダイバーシティではアトラクションも作られているガンダム。しかし、日本に比べ、海外ではそれほど人気はない。ガンダムに限らず、ロボットアニメが海外で受け入れられない背景には“フランケンシュタイン・コンプレックス”があるという。
アニメビジネスの今
今や老若男女を問わず、愛されるようになったアニメーション。「日本のアニメーションは世界にも受け入れられている」と言われることもあるが、ビジネスとして健全な成功を収められている作品は決して多くない。この連載では現在のアニメビジネスについてデータをもとに分析し、持続可能なあるべき姿を探っていく。
先日、お台場のダイバーシティ東京に“帰還”したガンダム。2009年にお台場・潮風公園に立てられた時と大きく異なるのは「ガンダムフロント東京」という本格的なアトラクションが併設されていることだ。前回はPR要素が強かったが、今回は明確にビジネスを目的としている。
ガンダムフロント東京はバンダイナムコ、サンライズ、創通というガンダムビジネスにおいて常に三位一体となっている企業が、LLP(事業を目的とする組合契約を基礎に形成された企業組織体)という体制をとって運営している。このようにアトラクションやテーマパークの題材となれば、キャラクターとしては円熟期を迎えていると言えよう。
通常、キャラクターのキャリアパスはマンガやゲーム、あるいはアニメなどから始まり、いくつかのメディアを経ながらテーマパークのアトラクションになることで完結する。それはディズニーランドのミッキーやドナルドを見れば分かる。今回、期限を区切らずガンダムフロント東京が運営されるということは、キャラクターとしてのキャリアパスが完成の域に近付いていることを示している。
不動の定番キャラクター
バンダイナムコホールディングスのアニュアルレポートによると、グループの2011年主要キャラクター別売上トップは「機動戦士ガンダムシリーズ」の382億円。全体売上の8.4%を占めるが、2007〜2011年の5年間では平均10.5%と大黒柱であることが分かる。2009年から「仮面ライダーシリーズ」が急伸しているが、1980年にガンプラ(ガンダムのプラモデル)が登場して以来、不動の定番キャラクターとなっている。
しかし、日本では揺るぎない存在のガンダムだが、意外と海外からの評価が聞こえてこない。4月末に訪れた中国の杭州アニメーション・フェスティバルでは、ガンダムが中心に位置するバンダイナムコブースに人気が集まっていたが、筆者が知る限り欧米でのガンダムに関する報道はまれである。
30年以上コンスタントにアニメが制作されているので、当然海の向こうにも知れ渡っているはずだが、ブームになっているという話は今のところ耳にしない。ということで、ガンダムを中心に、日本を代表するロボットキャラクターが海外でどのような評価を受けているか調べてみた。
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